うつ病ガイドライン徹底解説5 女性の場合
さて、うつ病のガイドライン、第1章の解説の続きです。
今回は患者さんが女性だった場合についての説明です。
うつ病は女性がなりやすい病気ということもあり、男女の差を考えないといけない病気になります。
さて、男女の差とは、どんなものでしょうか?
例えば、男性は家の外で働くもの、家事や育児は女性がするもの、などという社会的役割の差という概念もいまだ根強いと思います。
まあ、これは、ある種の偏見のようなもので、住む地域や文化によっても違ってくると思います。
時代の変化とともに変わってくる概念でもありますが、現状ではこういう考えもあるのは事実でしょう。
これに関係して、女性がうつ病となった場合は、家事や育児の負担について考慮が必要になってきます。
特に、高齢化する現代社会では、女性が家で介護をして大変な思いをしている、という場合も増えています。
こうした、社会的な要素がうつ病の原因になっている場合もありますので、しっかりと考える必要があります。
また、社会的だけでなく、生物学的な男女差も考えねばなりません。
月経前症候群という名前は、女性なら多くの方が聞いたことがあると思いますが、生理の前に気分が不安定になる方は多いと思います。
この月経前症候群も、うつ病に関わってくることがあります。
また、妊娠、出産後のうつ病も多いですし、ある程度の年齢を超えると女性は閉経を迎えますが、閉経もうつ病と関係が深いものになります。
こうした現象は、女性特有のホルモンの変動などが関係していると考えられています。
また、妊娠中、授乳中の投薬は、赤ちゃんに影響するリスクがあります。
こうしたことから、安易に抗うつ薬(うつ病の薬)を使うことはできません。
投薬以外の治療について考える必要が大きくなります。
つまりは、心理カウンセリング、精神療法といったものですね。
また、重症の場合には、電気を使った治療というものも行うことがあります。
そして、妊娠、出産という女性にとって大変なイベントを乗り越えるためには、産科、小児科といった他の診療科と精神科が連携することも大事になります。
このように、精神科が他の診療科と連携して患者さんの治療に当たることを、専門用語でリエゾン(元々はフランス語だそうです)と言ったりします。
もっと一般的な言い方だと、チーム医療という名称もあります。
チーム医療とは、色々な職種の人、例えば診療科の違う医師や、看護師、助産師などと連携して治療することです。
このように、広い視野を持って、多くの人が連携して治療する体制を作ることは、他のケースでも必要になってくることが多いですね。
さて、次回は、うつ病の検査について解説します。
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