精神疾患とタバコと禁煙
こちらでは、昨年にnoteで公開した記事を一部修正して記載しています。 禁煙に関する研究の紹介です。 タイトル:Weight gain and 10-year cardiovascular risk with sustained tobacco abstinence in smokers with serious mental illness: a subgroup analysis of a randomized trial
著者:Thorndike AN1, Achtyes ED, Cather C, Pratt S, Pachas GN, Hoeppner SS, Evins AE
雑誌、発表年:J Clin Psychiatry. 2016. 私はタバコを吸わないので分かりませんが、喫煙者はストレスがたまったり、イライラするとタバコを吸いたくなると言います。 タバコを吸うと、リラックスするわけです。 そういう理由もあってか、精神疾患がある人は、タバコを吸っている人が多いです。 おそらく、自分の気持ちを落ち着かせるための喫煙でしょう。


うつ病ガイドライン徹底解説1 体の病気
ここでは日本うつ病学会が公開するうつ病のガイドラインの2016年版を解説したいと思います。 今日、うつ病は日常的な用語となりましたので、知っている人も多いと思いますが、その診療ガイドラインまで知っている人は少ないと思います。 うつ病ガイドラインの正式名称は、「日本うつ病学会治療ガイドライン II.うつ病(DSM-5)/ 大うつ病性障害 2016 」となりますが、長いので、うつ病ガイドラインとだけ書くことにします。 ガイドラインとは、目安となる基準のことです。 医療でいうところのガイドラインは、「現代の普通の治療はこうだ」ということが書かれたマニュアルみたいなものになります。 医療関係ではガイドラインは山のようにありまして、診察、治療する上でのお手本になります。学会が出しているガイドラインは、しっかりと医学的な研究結果、データを元に、専門家が話し合って作っていますので、かなり信頼できるものになります。 こうした診療のガイドラインを一般の人も知っておくと、自分が病院に行くときに参考になります。 お医者さんがどんな治療をするのか、あらかじめ分かるわけで
なかなか治らないうつ病の方の研究をシェアします
アメリカの研究報告で、なかなか治りにくいうつ病には「葉酸欠乏」などの代謝の問題が隠されているのではないかという内容です。 引用元:Neurometabolic Disorders: Potentially Treatable Abnormalities in Patients With Treatment-Refractory Depression and Suicidal Behavior. Am J Psychiatry. 2017. The American Journal of Psychiatryという有名な雑誌に掲載された論文です。 今回、この研究で調べられたのは、治療してもなかなか良くならないうつ病の患者さんです。 専門用語では、難治性うつ病とか、治療抵抗性うつ病などと言ったりします。 うつ病の患者さんの中には、難治性、治りにくい人が15%以上いると言われています。 今回は、難治性のうつ病の患者さんの中でも若い方が参加した研究です。 こうした若い難治性うつ病の方の代謝が調べられました。 代謝とはかなり広い意味を持ちますが、体の中で物
Q:どうしたら、心の病で苦しんでいる知り合いを救えるでしょうか?
A:まずはメンタルの病気について知ることです。 人間には生まれながらに人の痛みを知る能力があります。 目の前で苦しんでいる人がいると、その人の苦しみが自分にも伝わってくるような神経回路が脳にはあると言われており、ミラーニューロンなどとも言われています。 だから、身近な人が苦しんでいると、自分も辛くなりますし、何とかしたいなと思うわけです。 これが人間の思いやりであり、優しさの原点ですよね。素晴らしい能力だと思います。 しかし、苦しんでいる人を助けるには、思いやりや優しさだけでは不十分です。 もちろん、思いやりや優しさが不要であると言っているわけではありません。 ただ、十分では無いということです。 もしも、あなたがその人を助けるのに最善の方法を知っていれば、上手い助け方を知っていれば、できることは格段に増えます。 これは、例えば、レスキュー隊と同じでしょう。 山で遭難した人を助けるには、専門の知識が無いと不可能です。素人が助けに行っても、新たに遭難者が出るだけでしょう。 知識、情報とは、それだけ物事の結果を左右する力があるのです。 誰かを助けるには
ギャンブル依存症とADHDの研究
最近は、IR(統合型リゾート)法案の影響で、ギャンブル依存症に注目が集まっていますね。ギャンブル依存症は、病的賭博とかギャンブル障害などと言ったりもします。具体的な症状は、賭け事にのめり込んでしまってやめられなくなったり、お金をかけるために借金してしまったりなどです。競馬やパチンコなど、日本にもギャンブルはあるので、こうしたギャンブル依存症の方が沢山いると言われています。 さて、今回はこのギャンブル依存症とADHDとの関係を指摘した、オーストラリアの研究を紹介します。 引用元:Adult ADHD Is Associated With Gambling Severity and Psychiatric Comorbidity Among Treatment-Seeking Problem Gamblers. Journal of Attention Disorders. 2017. (論文タイトル、雑誌名、発表年) ADHDとは注意欠陥・多動性障害(Attention-Deficit/Hyperactivity Disorder)の略語で、子供の


Q:なぜ、精神疾患について知る必要があるのでしょうか?
A:それは、誰でも精神疾患に関わる可能性が高いからです。 自分が精神疾患になる可能性、または、家族や知人が精神疾患になる可能性について考えたことはありますか? 精神疾患と言っても様々なものがあります。 心理的ストレスからくるものもありますが、脳の生物学的な要因が関わるものもあります。 たとえば、幻覚や妄想が出る「統合失調症」は代表的な精神疾患ですが、これは精神的なストレスよりも脳の生物学的な異常が強い疾患です。 一方で、ストレスが大きく関わる精神疾患には、「うつ病」や突発的に不安に襲われる「パニック障害」などがあります。 また、長生きすればするほど、「認知症」になる心配が出てきますが、実は認知症も精神疾患として扱われます。 超高齢社会の日本で、一生のうちに一度も認知症の人に出会わないなんて、まずありえない話です。 さらに、発達障害、ADHDなども精神疾患の一つとして扱われます。 この辺は、お子さんを持つ人には関心があるところだと思います。 つまり、精神疾患は、心の病気も脳の物理的な異常も含むので、実は、精神疾患とは思いのほか多いんです。 ですから
ブログ始めました。
VIJONAPのブログを作成しました。SNSや有料マガジンの更新状況などをアップしていく予定です。