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うつ病ガイドライン徹底解説4 睡眠



うつ病ガイドライン徹底解説

さて、引き続き日本うつ病学会のうつ病ガイドラインの第一章「うつ病治療計画の策定」を解説していきます。

今回はうつ病の具体的な症状について解説します。

うつ病には、気分が落ち込むという代表的な症状の他に、食欲が低下したり、気力が衰えたり、集中して考えられなくなったりと色々な症状があります。

そして、うつ病ガイドラインの第1章では睡眠の症状が注目されて取り上げられています。

多くのうつ病の方には、眠れなくなる、不眠という症状が出ます。なかなか寝つけなかったり、寝たと思ってもすぐに起きてしまうというものが不眠です。

うつ病の人が眠れなくなると、うつ病が原因で不眠症状が出ているんだな、全部うつ病のせいなんだなと思われがちです。

しかし、実は、そう簡単に決めつけてはいけない場合があります。

他の病気が隠されていることもあるのです。

このガイドラインでは、睡眠時無呼吸症候群が、まず例としてあげられています。

睡眠時無呼吸症候群とは、夜中に呼吸がうまくできなくなって、睡眠が浅くなり、途中で起きてしまったり、次の日も眠気が出てしまったりする病気です。

こうした症状がある人や、夜中に大きないびきをかく人は、この睡眠時無呼吸症候群の可能性があります。

実は、睡眠時無呼吸症候群はうつ病に似た症状も出ることがあります。

つまり、この病気のせいで眠れず、さらにうつ病の症状が出ているという可能性があるのです。

この場合、うつ病のせいで眠れなくなっているわけではない、ということになります。

ですから、いくらうつ病の治療をしても、根本的な睡眠時無呼吸症候群という病気を放置しているので良くなりません。

睡眠時無呼吸症候群は、睡眠中にモニターをつける検査を行うと分かります。もし、睡眠時無呼吸症候群が見つかったら、マウスピースや、呼吸を助ける器具をつけると良くなります。

また、レストレスレッグ(restless legs)症候群という病気もあります。これは、寝る前に足がムズムズして良く眠れないという病気で、むずむず脚症候群とも呼ばれます。

これも不眠症の原因になりますし、うつ病の人に多い病気でもあります。

レストレスレッグ症候群の場合は検査はありません。症状から診断します。ちゃんと薬もあり、治療可能な病気です。

このように、うつ病のせいで眠れないと決めつけてしまっては見逃される病気もあるので注意が必要ですね。

また、うつ病の方でも、逆に寝すぎてしまうという人がいます。この場合、双極性障害(躁うつ病)の可能性も考えねばなりません。

双極性障害は、うつ病と躁病というハイテンションな状態の両方が見られる病気で、抗うつ薬(うつ病の薬)を使うと悪化することがあるので注意が必要です。

このように、睡眠の症状だけでも色々な可能性を考える必要があるわけですね。

次回は、女性のうつ病について解説します。

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