

アルコールは週に100グラムまで
このページについて:一週間のうちどのくらいアルコールを摂取しても大丈夫なのか、飲酒量の上限についての研究報告が出ましたので、ご紹介します。 お酒はアルコール依存症に深く関わりますし、うつ状態や不眠症の原因になったり、認知症を引き起こしたりするので、精神科業界では常に注目されています。しかし、お酒は単に精神疾患と関係があるだけではなく、当然ですが身体の健康を損なう大きな原因です。たくさんお酒を飲むと肝臓を壊したり、生活習慣病になったり、心臓の病気や癌などの深刻な病気のリスクが上がったりと、さまざまな健康被害をもたらします。お酒が体に悪いことは、もはや誰でも知っている常識でしょう。 しかし、お酒をたくさん飲むと良くないことは知っていても、どのくらいまで飲んでもよいのか、どれくらい飲むと危険なのかを知っている人は少ないと思います。飲酒量の許容範囲、アルコールの上限は、ちゃんとした調査で明らかにすべき話ですが、どうやら、これまでにお酒の量と健康被害の関係は、あまりしっかりと調べられてきていなかったようです。そこで、国を超えてアルコールの量と病気や余命との


電気けいれん療法と認知症
電気けいれん療法という治療をご存知でしょうか? 電気けいれん療法とは脳に電気を流す治療法のことで、精神疾患の治療に使われます。脳に一定以上の電流を流すと、てんかん発作という症状を作り出すことができます。てんかん発作とは脳の細胞が電気的に興奮して、発作的に全身がけいれんしたり、意識を失ったりする現象です。ちなみに、てんかん発作が何度も続く病気をてんかんと呼びます。 このてんかん発作を脳に電気を流すことで人工的に作り出すことができます。これにより精神症状の改善が期待できるのです。特に、うつ病への治療効果は高く、重症のうつ病に対しては抗うつ薬などの薬物療法よりも有効性が高いのです。 しかし、かつての電気けいれん療法は、非常に副作用が強いものでした。電流が強すぎて電極を当てた部分の頭皮に火傷を起こしたり、手足がけいれんしてあちこちにぶつかり怪我をしてしまったりなど、多くの問題がありした。そもそも感電すると痛みも伴います。そのため色々と改良が施され、今では副作用はかなり軽減され安全性が高まりました。また、全身麻酔をすることで苦痛なく処置ができるようになりま


出産後のうつ症状を電話でサポート
出産前後にうつ状態に陥る女性は少なくありません。これには、妊娠の大変さや育児のストレスなどの心理的な要因あると思いますが、出産後にホルモンバランスが崩れるなどの生物学的な原因もあると考えられます。 こうした産後のうつ状態に対して、電話によるサポートシステムがアメリカで試され、成果が報告されました。今回紹介する論文はこちらです。 引用文献:Wisner KL, et al. Telephone-Based Depression Care Management for Postpartum Women: A Randomized Controlled Trial. J Clin Psychiatry. 2017. これはランダム化比較試験といって、調べる人たちと、それ以外の人たちをランダムに分類してから、それぞれのグループが比較されるという形式の臨床研究です。この研究には産後にうつ状態になった女性、合計628人が参加しています。電話によるサポートを受ける人と、そうではなくて通常通りのサポートのみを受ける人が、ランダムに選ばれました。そして、両者の間に