
自閉症スペクトラムとADHDの境界線
今回は自閉症スペクトラムとADHDという発達障害の診断について話します。 精神科の診療をしていると、患者さんが「A病院とB病院に行ったけど、言われた病名が違う」などと言って不満そうにしているケースを時々見かけます。たしかに、病院によって診断がころころと変わるというのはなんだか分かりにくいですし、良い加減なことを言ってんじゃないのと不審に思うこともあるかもしれません。例えば、内科の病院で診断が病院によってころころと変わるなんてそんなに無いですしね(まあ、それでも時々あることだとは思いますが)。ただ、精神疾患の診断は、実際のところ重なり合いが強くて、境界が不明瞭なことが多いのです。つまり、「あなたはこの病気です!」とクリアカットに分けられないんですよね。その一例として、今回は自閉症スペクトラムとADHDの重なり合いについての研究を紹介したいと思います。 現代の精神科では、基本的に症状の経過から診断を下します。ただ、患者さんから症状を聞いていると自閉症スペクトラムに特有の症状である人付き合いの苦手さ、コミュニケーションの不得意さなどと、ADHDの注意力