
統合失調症とビタミンD
精神疾患には色々なものがあり、ストレス性のものもあれば、脳の障害が先に出るような病気もあります。ストレスが関わるものだと適応障害が多いですが、恐ろしいトラウマ体験が影響するPTSDなどもあります。 しかし、精神疾患はストレス以外にも様々な要因が関わります。脳の異常、ホルモンの異常、遺伝的な要因という生物学的な要因も精神疾患に関わってくるのです。 生物学的な要因が強い精神疾患の一つに統合失調症という病気があります。統合失調症は、誰もいないのに人の話し声が聞こえるなどの幻聴や、いろんな人に見られている、狙われている、盗聴されているなどと思い込む被害妄想などの症状が出る精神疾患です。こうした症状は精神病症状とか陽性症状などと言われます。一方で、意欲がなくなったり、喜怒哀楽が弱くなったり、引きこもりになったりという陰性症状という症状も出ます。そして後述するように、認知機能障害という症状も出ることが知られています。 この統合失調症は脳の異常という側面が強く、ストレスがなくても発症してしまいます。脳の形状なども変化すると言われていますが、こうした脳の障害の結


アミロイドβと体内時計
歳をとると睡眠の量も質も変化しますが、時間がずれるのも多いのはご存知でしょうか。本来であれば、昼間に活動して、夜になると眠るというのが一日のサイクルです。私たちの中にも時計があり、ある程度は一日のリズムを保ってくれます。これは体内時計などと呼ばれますが、専門用語では概日リズム(サーカディアンリズム)と言います。しかし、高齢になると、この体内時計がずれてしまい、昼に寝て夜起きる生活になってしまうなど、昼夜逆転してしまうことは珍しくありません。また、認知症になると、さらに体内時計が不正確になり、一日のサイクルが崩れやすくなります。
認知症の中で一番多いのは、アルツハイマー型というものです。アルツハイマー型認知症の人の脳内には、アミロイドβなどの異常なタンパク質が長い年月をかけて蓄積されます。実は、物忘れなどの認知症の症状が出る何年も前から、こうした変化が少しずつ起きていることが分かっています。認知症には前段階があるのです。
アルツハイマー型認知症の人で、物忘れなどの認知症の症状が明らかに出ている場合では、昼夜逆転などの体内時計の乱れがよく見ら

パニック障害の未来の治療
パニック障害という病気はかなり沢山の人にみられる精神疾患です。精神疾患なんて表現すると、何やら異質なものという印象を与えてしまうかもしれませんが、パニック障害は私たちの正常な心のありようと大きく違うものではありません。 パニック障害の中心を成しているものは、不安や恐怖です。とても強い不安、恐怖によって動悸がしたり、息苦しくなったり、冷や汗が出たり、お腹が痛くなったりします。これがパニック発作という症状で、パニック障害の中核的な症状になります。 パニック発作と言えるほどの強い症状を感じたことが無い人でも、不安や恐怖を感じたことが無いということはないと思います。不安、強い恐怖により、冷や汗が出たり、胸がドキドキしたことくらいなら、誰にでも経験があるのではないでしょうか。つまり、誰もが経験したことのある状態の延長線上に、パニック障害があるのです。 ただ、いくら私たちの通常の精神状態に近いからといって、パニック障害が病気であり、治療が必要なことは言うまでもありません。パニック障害の治療には精神療法、心理療法というものもありますが、薬物療法、すなわち、薬を