ベンゾジアゼピンと働く人
ベンゾジアゼピンという薬をご存知でしょうか。不安を取ったり、眠気を誘うような作用のある薬で、抗不安薬と睡眠薬に大別されます。抗不安薬ですと、例えば、アルプラゾラム(ソラナックス)などがあり、睡眠薬ですとブロチゾラム(レンドルミン)などがあります。また、デパス(エチゾラム)は構造的にはチエノジアゼピンになりますが、ベンゾジアゼピンとほぼ同じ作用、副作用があるため、同等と考えられている薬です。
こうしたベンゾジアゼピンは日本ではよく処方されますが、アメリカなんかでは依存性が強いため麻薬と同じような扱いを受けています。もちろん病院で処方される薬にはなりますが、取り締まりは日本より強めです。日本では病院やクリニックがベンゾジアゼピンを処方しすぎるので、問題になっています。というのも、ベンゾジアゼピンには色々と副作用があり、しかも依存性があるのでやめたくてもやめられないことが多いからです。今回はそんなベンゾジアゼピンにまつわるアメリカの調査報告を紹介します。
Characterizing the Interrelationships of Prescription Opioid and Benzodiazepine Drugs With Worker Health and Workplace Hazards. J Occup Environ Med. 2017(論文タイトル、雑誌名、発表年)
こちらは、働く人に対して、ベンゾジアゼピンとオピオイドというヘロインやモルヒネなどの麻薬がどれだけ悪影響を及ぼしているかを調べたものです。ベンゾジアゼピンと麻薬を同列に扱っているのは、先ほども言った通り、海外だとよくある傾向です。こちらでは、2000年から2015年の間に、ベンゾジアゼピンやオピオイドと、職場における事故やトラブルなどの関係を調べた論文が検索されました。論文検索の調査報告という形で、レビューと言います。その結果、133の論文が見つかりました。まとめると、ベンゾジアゼピンやオピオイドは、疲労感、認知機能障害、つまり考えたり記憶したりという脳の働きが衰えること、転倒、交通事故などに関係していたそうです。疲労感なんかは結構、意外に思う人もいるかもしれません。仕事で疲れたといってメンタルクリニックなどに受診するとベンゾジアゼピン系の抗不安薬や睡眠薬を処方されることは多いですが、このベンゾジアゼピンの副作用で疲れが取れないこともあるということです。また、交通事故なんかも怖いところ。ベンゾジアゼピンを内服した後は、基本的に車やバイクの運転は避けるべきです。取り返しのつかないことになりかねません。あとは、認知機能障害で仕事の能率が下がるのも頭脳労働者には大きな問題になるでしょう。もちろん、副作用が出る出ないは個人差がありますが、ベンゾジアゼピンを使うときは、こうした副作用についても知っておかなければなりません。
ベンゾジアゼピンについては、過去にこのブログでも紹介していますので、詳しく知りたい方は以下の記事もお読みください。
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