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依存症はなぜ悪いのか?


なんで依存症は悪いのでしょうか?

人間は何かしらに依存して生きているものです。例えば、たいていの人は家がなければ生活は成り立ちません。言い方を変えれば、人は家に依存して生きています。食事をしなければ、生きていけません。つまり、食事に依存して生きています。しかし、家依存症とか、食事依存症なんて、あまり言わないですよね。そんなの何が悪いのかという話です。家に依存して生きても困りません。食事も食べ過ぎなければ良いだけです。つまり、依存していても特に支障が無ければ、依存症とは言わないわけです。そもそも、精神疾患とか精神障害というものの考え方として、生活や健康に支障が無ければ病気じゃないという定義があります。例えば、気持ちが落ち込んだとしても、普段の生活はそれなりに成り立っていたら、うつ病とはみなさないわけです。依存症なんかも同じです。お酒に依存してしまうと肝臓を壊したり、癌になりやすくなったり、認知症になったりします。アルコール依存症の特集記事でも書きましたが、アルコール依存症は甚大な健康被害をもたらします。また、二日酔いや酔っ払った状態ではまともに仕事はできませんから、生活への支障も出てきます。そんなこんなで、健康や生活に多大な害をもたらすので、依存症と呼び、病気、精神疾患の一つと認定するわけです。つまり、依存すること自体が悪いというわけではなくて、依存によって何らかの害が生じて、初めて悪いということです。最近よくスマホ依存という言葉を聞きますが、これも同じでスマホの使いすぎによって何らかの害が出て初めて問題となります。ただ、まだスマホの使いすぎでどれだけの害があるのか、そもそもどれだけ使うと害があるのかは調査中であり、よく分かっていません。なので、スマホ依存症という風に病気とみなして良いのかどうか、現時点では分からないわけです。

こちらのブログではベンゾジアゼピン依存症を取り上げたりしています。ベンゾジアゼピンは不安を取ったり、眠くしたりする作用がある薬の種類で、例えばソラナックス(アルプラゾラム)とかワイパックス(ロラゼパム)なんかがあります。ベンゾジアゼピンには、精神的にも肉体的にも依存してしまうという副作用があります。ただこの場合も同じ考え方です。ベンゾジアゼピンという薬に依存しても、何も害がなければ病気と考えなくてもよいわけです。つまり、ソラナックスやワイパックスに副作用がなければ、依存したところで問題ないわけです。しかし、実際には副作用があります。認知機能障害といって脳の働きを悪くする作用があり、注意力も落ちるので仕事のミスや交通事故の原因になります。(このへんは以前の記事で紹介しました→「ベンゾジアゼピンと働く人」)他にも、体がだるくなったり、筋弛緩作用といって力が入りにくくなり転びやすくなったり、脱抑制といって衝動的になったりします。こうした副作用があっても、依存性があるのでやめられない。だから、依存症というふうに病気と考えるのです。ベンゾジアゼピン依存症の治療については過去の記事でも紹介しましたが、実際に依存症になるとなかなか抜け出すのが大変なのは事実です。ですから、依存症になる前に、どのような害があるのか知っておく必要があると思います。

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