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レム睡眠行動障害とパーキンソン病


(こちらは昨年noteに紹介した記事を一部改変したものです)

パーキンソン病は手足の筋肉が硬くなったり、勝手に震えたりする脳の病気です。

パーキンソン病を知っている方でも、レム睡眠行動障害という病名を知っている人は少ないと思います。

人間の睡眠はいくつかの段階に分かれていますが、その中のレム睡眠という部分で私たちは夢を見たりします。

夢の中で私たちは動き回っていますが、その時に、どうして寝ている現実の自分の体は動かないのか、疑問に思ったことはありませんか?

これには秘密があって、レム睡眠の最中では、脳が体の筋肉をゆるめ、動かなくなるように調整しているんです。

夢を見ている時は、手足はだらんと力が抜けています。

だから、勝手に動かないんですね。

しかし、この調整がうまくいかなくなるのがレム睡眠行動障害です。

この病気になると、レム睡眠の最中でも体の筋肉がゆるまなくなってしまい、夢とともに体が動いてしまうんですね。

このレム睡眠行動障害ですが、パーキンソン病を持つ方に多く発生することが知られています。

二つの病気を同時に持ってしまう方が多いんですね。

今回は、このレム睡眠行動障害とパーキンソン病の関係について調べた研究をご紹介します。

論文タイトル:Basal ganglia dysfunction in idiopathic REM sleep behaviour disorder parallels that in early Parkinson's disease. 雑誌、発表年:Brain. 2016.

この研究では、fMRIという脳の活動性を調べる機械を使って、レム睡眠行動障害の人の脳が調べられています。

このfMRIを使ってパーキンソン病の人の脳をスキャンすると、大脳の基底核という部分に異常が見られることは分かっていました。

この研究では、このfMRIを使って、レム睡眠行動障害を持つ方の脳もスキャンしています。

そして、パーキンソン病を患っている人と、なんの病気もない健康な人たちの脳も、fMRIでスキャンされました。

こうして、病気の人と健康な人の結果を比べると、どこが異常なのかよく分かります。

26人のレム睡眠行動障害の方、48人のパーキンソン病の方、23人の健康な方がこの研究に参加されました。

それぞれの脳をfMRIでスキャンすると、パーキンソン病の方と同じように、レム睡眠行動障害の方でも基底核の機能が低下していることが分かりました。

どうやら、パーキンソン病とレム睡眠行動障害という二つの病気に共通するのは、この基底核の機能低下という現象のようなのです。

今後、さらに研究されると、二つの病気の関係性がもっとはっきりとしてくるはずです。

ちなみに、レム睡眠行動障害は寝ている時の脳波を測定する検査(終夜睡眠ポリグラフ検査)で診断します。

この検査のできる病院は限られていますが、夜中に何度も寝言を言ってしまうとか、手足をバタバタと動かすなどの症状が気になる方は、病院で検査を受けてみるといいかもしれません。

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