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精神症状とアルツハイマー


認知症という病気は色々ありますが、共通の定義がありまして、生活に支障が出るほどの記憶力低下や判断力の障害があると認知症と診断されます。

なので、脳に異常が出ても、記憶力や判断力なんかが問題なければ認知症とは言わないことになります。

認知症で一番多いものは、アルツハイマー型認知症というもので皆さんも一度は聞いたことがあるかもしれません。

脳にアミロイドやタウといったタンパク質(ペプチド)がたまって神経細胞にダメージが出て、記憶力や判断力が低下する病気です。

しかし、脳にこのような異常が出てから記憶力や判断力が低下する認知症の状態になるまで、かなりタイムラグがあります。

実は20年くらい前から、脳に異常は出てるんですね。

この場合は、記憶力などは正常なので、アルツハイマー型「認知症」とは言わず、アルツハイマー病とだけ言ったりします。

今回は、このように、アルツハイマー病の異常が脳に出てきているけれど、まだ記憶力は問題ない、認知症になる前の状態の人の研究をご紹介します。

中国の研究ですね。

参考文献:Neuropsychiatric symptoms predict hypometabolism in preclinical Alzheimer disease. Neurology. 2017(論文タイトル、雑誌名、発表年)

先ほども言ったように、アルツハイマー病の異常は、脳にアミロイドやタウがたまることですが、こうした脳の異常は検査で調べることができます。

この研究では、アミロイドはPET画像検査、タウは脳脊髄液の検査で調べています。

研究に参加した人は115人で、認知症にはなっていない方です。

この研究では、さらに精神症状も調べています。さらに、この人たちが、その後にどうなったのかを調べるため、2年後に脳の機能を測定するFDG-PET検査を行っています。

このFDG-PET検査というのは、アルツハイマー型認知症の検査として海外ではよく行われています。

日本だと、SPECT検査というものが近いです。

さて、この研究の結果ですが、精神症状が強い人は、2年後のFDG-PET検査で、脳の後部帯状回という場所の機能が低下していたとのことです。

この後部帯状回は、アルツハイマー型認知症の人で障害されやすい場所です。

つまり、精神症状が強い人は、将来的にアルツハイマー型認知症の異常所見が出やすいという結果だったわけです。

精神症状といっても色々ありますが、特に、夜間の異常行動や不眠、イライラ、怒りっぽさなどがあると、この傾向が強いとのこと。

年を取ってから夜中に変なことをしたり、怒りっぽくなったりする人は、もしかするとアルツハイマー型認知症になりかけているのかもしれません。

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