認知症になる前の不眠症
昨年にnoteで公開した記事を一部修正してお届けします。有料マガジン「世界最先端のメンタルの研究をシェアしましょう」のサンプルとお考えください。
実は、認知症になると、夜に眠れなくなる人がたくさんいます。
今回は、認知症と不眠症の関係についての研究を紹介します。
さて、認知症で一番多いタイプはご存知でしょうか?
答えは、アルツハイマー型認知症です。
アルツハイマー型認知症では、脳にベータ・アミロイド(よくAβと略されます)というタンパク質がたまっていきます。
このアミロイドですが、認知症の症状が出る10年から20年も前に、脳の中にたまり始めます。
80歳で認知症になった人の場合、60歳くらいから脳の中にアミロイドがたまり始めるのです。
しかし、アミロイドがたまり始めた60歳の頃は、一見問題なく、記憶力もしっかりしています。
しかし、脳の中に異常が起きているのに、本当に全く症状がないのでしょうか?
確かに、記憶力には問題がないかもしれません。
しかし、よ〜く、よ〜く調べると、何かしらあるのではないでしょうか?
この疑問に答えてくれるのが、今回ご紹介する研究です。
先ほども言ったように、認知症になると眠れなくなる人が多いんです。
では、記憶力なんかはちゃんとしていて認知症ではないけど、脳の中にアミロイドがたまっている人は?
こういう人たちはちゃんと眠れるんでしょうか?
この研究では、60歳以上の方々、184人を集めて、脳の中のアミロイドと睡眠の関係を調べました。
この184人の方々の中に認知症の人はいません。
みんな記憶力は正常な人たちです。
ちなみに、脳の中のアミロイドは、PET検査というもので調べることができます。
この研究でも、PET検査でアミロイドを調べていますね。
さて、その結果ですが、、
やはりというか、脳の中にアミロイドがたまっている人ほど眠りにくくなっているということがわかりました。
この研究では、睡眠について、睡眠の合計時間、眠るまでの時間、途中で目覚めるかどうかなどと細かく調べられました。
そのうち、眠るまでの時間が、アミロイドがたまればたまるほど長くなるとか。
つまり、寝つきが悪くなるわけですね。
ベッドに横たわってもなかなか寝つけない状態をイメージしてもらえると分かりやすいと思います。
ということは、やはり、アミロイドが脳の中にたまっていると、なんの症状もないということはなさそうだということが言えます。
たとえ、記憶力なんかが問題なくても、眠れなくなったりと、他の症状が出ているかもしれないんですね。
このアミロイドをとにかくなんとかしようと、今、世界中で薬の研究が行われています。
脳の中にたまったアミロイドを取り除く薬とか、事前に脳にアミロイドがたまらなくなる薬とか。
本当に、早くできるといいですね。
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