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性格の遺伝と愛情


(こちらは昨年にnoteで公開した記事を改変したものです)

さて、今回は、親子についての論文をご紹介しようと思います。

世の中には様々な子供がいると思いますが、その性格は十人十色でしょう。

優しい子、明るい子、内向的な子、乱暴な子など、本当に色々いると思います。

その中で、非人間的というか、ひどく冷たい行動を取る子供もいると思います。

もちろん、子供というのは物の分別がつかないし、何が良いか悪いか分からないものですから、知らないで悪いことをしてしまうのは仕方がないかもしれません。

しかし、そうではなくて、明らかに冷酷、冷淡な行動を取ってしまう子供もいます。

そういう子供は、将来的に、反社会的な人間になるリスクが高いそうです。

悲しいことですが、小さな子供の冷淡な行動には、遺伝の要素がある、ということが、今までの研究で分かっているそうです。

つまり、親が反社会的な行動を取るような人であると、その子供も冷淡な行動を取る可能性が高いということですね。

そして、その冷淡な行動を取る子供が成長すると、反社会的な人間になったりするわけです。

なんとも、嫌な負のループです。

いわば、カエルの子はカエルというような話なんですが、こうした負のループには生物学的な残酷さというものを感じます。

昔は、「血」という表現を使ったと思いますが、血統や遺伝というのは、自分ではどうしようもないものです。

そうした、どうしようもないものに縛られるのは、なんともやるせなく、辛いものですよね。

しかし、人間の性格は遺伝だけで決まるものではありません。

当然といえば当然ですが、人間の置かれた環境、育ってきた環境も人格形成に大きく影響します。

そもそも、遺伝と育ってきた環境という二つの要素は、互いに密接に関わり合っています。

そこで、今回の研究につながります。

これは、いかに遺伝的なリスクに育て方で対抗するかという話になります。

これはアメリカの研究ですね。

子供の遺伝的な要素と、育った環境という要素の両方を検討するために、養子となった子供たちと、その育ての母親、そして、血のつながりのある母親(生物学的母親といいます)を調べています。

561もの家庭を調査したとのこと。

さて、その結果ですが、やはり、生物学的母親が反社会的な行動をとるような人だと、その子供も冷淡な行動を取りやすいという結果は出たそうです。

つまり、遺伝的なリスクがあるということですね。

しかし、この研究では、育ての母親の方も調べています。

具体的には、育て方、もっと言うと教育方針についてですね。

この研究では、「正の強化」という心理学の用語が使われていますが、例えば、皿洗いの手伝いをした子供をお母さんが褒めると、 次回から、褒められた子供は自発的に皿洗いをするようになったりします。

こんな風に、特定の行動が増えることを正の強化と言いますが、まあ、褒めて伸ばすみたいなものを想像してくれると良いと思います。

さて、この研究の結果の続きですが、育ての親の「正の強化」があると、先ほどの遺伝的なリスクに対抗できるという結果が出たとのことです。

つまり、この研究では、育ての親が子供を褒めて伸ばそうとしていると、たとえ生物学的な母親が反社会的な人だったとしても、その子供が冷淡な行動を取ったりするような可能性は少なくなるということです。

ちょっと拡大解釈して言うと、育ての親の愛情が大事、ということですかね。

世の中には養子に出る子供も一定数はいると思いますが、良い家庭に入ると人格まで変わってくるわけです。

やはり、小さい子供の育て方、家庭内の教育は大事です。


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