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パニック障害の治療の研究のまとめ


強い不安感や恐怖感と共に、胸がドキドキしたり、息苦しくなったりする症状をパニック発作と言います。

このパニック発作が何ヶ月も続く病気をパニック障害と言うのですが、パニック発作は他の病気でもよく起こるため、少し病気の定義がややこしいです。

例えば、うつ病や社交不安障害などでもパニック発作がよく起こります。

ですから、あまり厳密に病気の診断について考えなくても良いのかもしれません。とにかく、確かなのは、強い不安により動悸や呼吸困難といった症状が起きることがあるということです。

さて、最近のパニック障害の治療の研究をまとめてみました。認知行動療法に関するものが多かったですね。その中から4つを紹介します。

  1. Insomnia Symptoms Following Treatment for Comorbid Panic Disorder With Agoraphobia and Generalized Anxiety Disorder. The Journal of nervous and mental disease. 2016. (論文タイトル、雑誌名、発表年):認知行動療法という精神療法(心理療法)がパニック障害や他の不安障害に有効であることは知られていますが、パニック障害や不安障害に伴う不眠症にまで有効かは分かっていないとのことで、それを調べた研究です。結果として、認知行動療法はある程度は不眠症にも有効だったようですが、63%の人が認知行動療法の後にも不眠症が残ってしまったとのことで、限界も指摘されています。

  2. Predicting treatment response to cognitive behavioral therapy in panic disorder with agoraphobia by integrating local neural information. JAMA Psychiatry. 2015. (論文タイトル、雑誌名、発表年):同じ病気でも患者さんごとに有効な治療が異なります。治療を始める前に有効性が分かれば、治療を計画しやすくなります。有効でなさそうなら、違う治療を選択することができますから。そこで、この研究では、広場恐怖(電車内などの閉鎖、密閉された空間が怖いという症状)をともなうパニック障害の患者さんで認知行動療法が有効かどうか、fMRIという脳機能を測定する検査を使って予測しようとしました。脳のいくつかの部位の検査結果を使い、7割くらいの正確さで予測できたとのこと。

  3. Internet-delivered cognitive behavioural therapy for children with anxiety disorders: A randomised controlled trial. Behaviour Research and Therapy. 2016. (論文タイトル、雑誌名、発表年):最近、海外ではインターネット上で認知行動療法を行うという手法が徐々に広がってきています。これは、子供の不安障害(全般性不安障害、パニック障害、分離不安障害などを合わせた総称です)に対して、インターネットを使った認知行動療法が有効かどうか調べた研究で、有効性が確認できたと報告しています。

  4. Cognitive-behavioral therapy for panic disorder with agoraphobia in older people: a comparison with younger patients. Depression and Anxiety. 2014. (論文タイトル、雑誌名、発表年):若者と高齢者でパニック障害に対する認知行動療法の効果に違いがあるか調べた研究です。60歳以上と、18-60歳で比較したところほとんど同等の効果が得られ、むしろ若干60歳以上の人の方が有効性が高かったという結果でした。少なくとも年齢は関係ないという話ですね。

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