脳梗塞とうつ病
昨年、noteに公開した記事を一部修正して記載します。
脳梗塞とうつ病の関係についての論文を紹介しています。
うつ病は、知っている方も多いと思います。
悲しい気分になったり、眠れなくなったりする精神疾患です。
もちろん、誰だって落ち込むことはありますが、うつ病は、もっと重症で、何ヶ月も続くという違いがあります。
簡単には立ち直れません。
このうつ病ですが、原因はかなり複合的です。
一般的には、ストレスを思い浮かべる方が多いと思います。
確かに、強いストレスがかかると、うつ病になりやすくなります。
しかし、うつ病の原因は、ストレスだけではありません。
実は、もっと物理的というか、生物学的な現象が、うつ病の原因になることがあります。
その一つが、脳梗塞です。
脳梗塞とは、脳の血管がつまり、手足が麻痺して動かなくなったりする病気です。
また、認知機能といって、覚える、話す、計算するなどの頭の機能が低下したりします。
要は認知症の症状です。
そして、脳梗塞の影響は感情にもおよびます。
脳梗塞になった後に、うつ病になることがあるのです。
これは、すでに100年以上前から知られていた現象です。
感情とは脳の働きですから、脳が障害されては、感情もおかしくなるのは当然です。
今回、紹介する論文は、その脳梗塞後のうつ病の研究をまとめたものです。
これによると、脳梗塞後のうつ病にも、通常の抗うつ薬が効くとのこと。
さらに、抗うつ薬が脳梗塞後のうつ病を予防することもできるといいます。
ストレスからくるうつ病でも抗うつ薬を使いますから、同じ治療で大丈夫ということですね。
これはこれで大事なことです。
ただ、単に治療法が同じというだけでは少し物足りない話ですよね。
しかし、これだけではありません。
この論文では、抗うつ薬の効果が単にうつ病の改善に留まらないことまで書かれています。
なんと、抗うつ薬でうつ病を治療すると、身体能力や認知機能の改善にもつながるというのです。
つまり、手足の麻痺の回復が早くなったり、頭の働きが元に戻ったりするということ。
脳梗塞になるとリハビリをすると思いますが、そのリハビリの効果が上がるということです。
さらに、生存率まで上げると言います。
つまり、うつ病の治療をする方が、長生きできるということ。
やはり、脳梗塞後のうつ病は、絶対に治療した方がいいですね。
このように、精神的な治療が、他の治療にも良い効果をもたらすという研究結果は多いです。
病は気からと言いますが、それは治療にも言えること。
感情の治療が体の治療にも影響するのです。
心と体が繋がっているなということが、こういう研究結果を見るとわかります。
ただ、どのように繋がっているのか、細かいメカニズムはまだ不明な点が多いです。
脳とは謎の多い臓器です。
そのあたりは、今後、優秀な科学者に解明してもらうことを期待しましょう。