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うつ病ガイドライン徹底解説17 うつ病が重い場合の治療の概要



うつ病ガイドライン徹底解説

今回は、うつ病がある程度重い時の話をします。

中等症または重症という表現をしますが、これは、うつ病の症状が強すぎて仕事や家事がほとんどできなくなったり、自殺の気持ちが強くなったりするような状態です。

あまりに状態が悪い場合は入院することもあります。

また、今回は「精神病性の特徴を伴わない」と書かれていますが、精神病性の特徴とは、幻覚や妄想など、現実には無いことを感じたり考えたりしてしまうような症状のことです。うつ病でもこうした症状が出てくることがありますが、今回はこうした症状を伴わないケースについてということですね。

さて、うつ病学会のガイドラインでは、この第3章で薬の治療と電気の治療を主体に説明しています。

ある程度、うつ病が重くなると、精神療法・心理カウンセリングだけでは不十分なことが多いからでしょう。

さて、うつ病の薬物療法の基本から説明したいと思います。

ガイドラインでは、治療はじめの段階(急性期)と、うつ病が良くなった後の段階(寛解維持期)とに分けて説明しています。以下に抜粋します。

(急性期、治療のはじめの段階)

1. 治療開始前に丁寧な説明を行う

2. 抗うつ薬を低用量から開始する

3. 有害作用に注意しながら可能な限りやかに増量する

4. 十分な最終投与量を投与する

5. 十分期間効果判定を待つ

(寛解維持期、うつ病が良くなったあと)

6. 十分な継続療法・維持療法を行い

7. 薬物療法の終結を急ぎすぎない

なお、効果判定を待つ十分期間とは、4週間が目安と書かれています。

また、薬を使う際は様々な副作用に気をつけなければならないのは当然です。

ただ、副作用の出ない薬はありません。結局、ある程度は副作用のリスクはあるので、それを覚悟して使わなければなりません。

また4週間待っても抗うつ薬の効果がほとんど無ければ、他の抗うつ薬に切り替えます。

また、多少は効果があっても不十分な場合は、他のタイプの薬を組み合わせる増強療法というやり方や、抗うつ薬を同時に二種類使うという方法があります。

ただ、多くの薬を使うと副作用も出やすくなるので、基本的に薬は一種類が良いです。

また、重症例では抗うつ薬を速やかに最大用量まで増量することが推奨されています。

これは、薬の量が少ないと効果が出ないからですが、実は効果が出なくても副作用は出ます。

なので、少ない量で薬を使うと、副作用ばかりが出て効果がないという残念な結果になってしまうこともあるのです。

ただ、やはり薬の量を増やすと副作用のリスクも増えるのは事実なので、難しい部分もあります。

特に、高齢者や肝臓、腎臓、心臓などの内臓が悪い人は、少なめにしか薬を使えない場合もあります。

そして、極めて重症度が高かったり、いくつかの薬を使っても治らない場合は、電気の治療(修正型電気けいれん療法)を考えます。

さて、次回からは薬の治療をさらに具体的に説明していきます。

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