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A. 助けを求めるスキルが大事



アルコール、うつ病、経済的困窮、助けがない

一件、相談がありました。状況を丁寧に書いて下さったので、とても分かりやすいです。

相談内容は以下の通りです。

■年代を選択してください。

50代

■性別を選択してください。

男性

■子供時代について教えてください。

成績が悪く、怒らればっかりで、褒められた記憶がありません。

■いつから、どんな症状があるのか、時間の流れに沿っ...

自営業で赤字が続いてお金がなくて、貯金もなくて。精神的にまいってゆうつです。寝れない、途中で目が覚める、何とも言えない身体のだるさ、不安、やる気が出ない、悲しい、物忘れ、集中力がない、食欲がない、食べれない、趣味が楽しくない、死にたい、イライラするのでアルコール量が増えました。うつ状態がひどいのでうつと思い精神科相談するとアルコール依存症と言われました。こんな状態が1年以上も続いています。

■現在の生活、職場環境や人間関係について教えてくだ...

自営業で大変赤字が続いて。貯金もなく、生活困窮状態です。

■もし、現在治療中の身体の病気・ケガや、過去に治療...

右目の見え方がおかしい、胸焼け、背中が痛い、左の背中が痛い。過去に胃潰瘍、十二指腸潰瘍

■最後に、何か聞きたいことや相談したいことがあれば...

自営業が赤字で貯金もなく、この精神状態では働きに行く、自身もありません。アルコール依存症て医者に、言われましたが、精神疾患治療したいのですが、お金がありません。誰も助けてくれる人がいません。生活保護を受けたたいのですが私はうつと思うのですが、アルコール依存症で生活保護を受けれますか。

では、コメントしていきます。

相談者さんは、どれだけお酒を飲むのかは分かりませんが、アルコール依存症と診断されたくらいなので、けっこうたくさん飲むのでしょう。実は、アルコールとうつ病は密接に関係しています。

うつ病になり、嫌な気持ちを和らげたくてお酒を飲む人もいますし、お酒を飲んでいるうちにアルコールで脳にダメージが加わり、うつ病になる人もいます。これはニワトリと卵のようなもので、どっちが先かはよく分からないことも多いです。

つまり、「あなたはアルコール依存症」「あなたはうつ病」と単純に分けられるわけではなく、アルコール依存症もうつ病も複雑にからまり合っているのです。この辺りは、以前にブログでも書きましたので、ご参照ください。

ただ、大元の原因は経済的な問題のようですね。ここを解決しないことには、気持ちが晴れないと思います。

生活保護について役所に相談に行くのは賛成です。生活保護は財産がすっからかんになった状態で受けられるもので、かなり細かな審査があります。私もくわしくは知りませんし、そこは役所の方に任せるしかないでしょう。精神疾患があるから受けられるというものではないですが、とにかく役所に行かないと分からないので、まずは行ってみることです。

もう一つ、「助けを求めるスキル」について話します。これは、とても大事なものです。

相談者さんは、おそらくネットなどを使い、うつ病について調べたのだと思います(違ったらごめんなさい)。うつ病について説明するサイトを見ると、大体は診断基準となる症状の羅列が書いてあったりします。こうしたサイトを見れば、精神科に行ったときにも症状を単語で羅列した方が良いのかなと思いますよね。それは、無理もないことだと思います。

しかし、これでかえって症状が分かりにくくなり、どんな感じ状態か精神科医に伝わらなくなることがあります。

例えば、うつ病で多い、「悲しい、不安」というもの。重いうつ病の人の「悲しい、不安」はこんな感じです。

常に落ち着かず、いてもたってもいられない。もう一日中、辛い気持ちが続いていて、一瞬たりとも気持ちが晴れることがない。自分が情けないし、この先どうなるのか心配で仕方ない。きっと今後も良くならないと思うと、死んでしまいたくなる。

このように強いレベルの「悲しい、不安」もありますし、もっと全然軽いものもあります。

テレビで野球中継が延びて、自分の好きな番組が放送されず悲しい。ちゃんと放送されるか不安だ。

こんな日常的な、「悲しい、不安」もあります。単に「悲しい、不安」と言ってしまうと、どれほどのものかよく分からないですよね。

なので、調べた症状の羅列はいったん忘れて、今の気持ちを自分の言葉で語ることをおすすめします。

さらに、どうしてそうなったのか、今までのいきさつ、ストーリーも説明すれば、より人に伝わりやすくなります。しっかりと伝われば、相手の共感を呼びます。この共感を呼ぶことが大事なのです。

これは、なにも精神科に行くときだけの話ではありません。誰かに助けを求めるときに、相手に共感されることは、とても大事な要素になります。

誰だって、なんだか分からない人を助けたいとは思いません。相手の気持ちに共感して、初めて「何とかしてあげたい」と思います。なので、相談者さんも、精神科に受診するときだけでなく、役所に相談に行く時も、知り合いに相談する時も、自分の気持ちや、これまでのいきさつを自分の言葉で語り、相手に共感してもらうようにした方が良いと思います。

また、そのためには、過去の失敗や、自分のかっこ悪いこと、自分の弱さなども話さないといけません。これは、なんとも嫌なもので、なかなか正直に言いにくいと思いますが、自分の弱さをさらけ出した方が、助けが得られる可能性は高まります。

誰だって弱さを抱えて生きています。言いかえると、誰もが弱さを共有できるという事です。きっと、相談者さんも他人の弱さを見て、自分と似ていると思ったことがあるのではないでしょうか。相手の弱さを理解すれば、助けたいと思うのが人の心の道理です。

逆に、強さを持っている人は限られています。そのため、自分の強さをアピールしても、なかなか理解してくれる人はいません。

人から共感を得るには、強さではなく、弱さをさらすことが大事なのです。助けを求めるときは、できるだけ正直に、自分の弱さを話してみて下さい。

たまに、助けを求める人を「人に頼るな」「媚びるな」などと批判する人もいますが、これはおかしな話です。人間社会は助け合いで成り立っており、誰だって他人の助けが必要です。社会的に成功している人も、たくさんの人に助けられています。ですから、変に恥ずかしいと思わず、苦しいときは助けを求めることが大事であり、また、助けを求める力も、立派な能力の一つと思うことが大事です。

相談者さんは、すでにこの場で自分について詳しく説明できているので、きっと助けを求めるスキルがある方なんだと思います。これはとても大切な能力なので、そこをもっと伸ばしてみて下さい。そうすれば、きっと誰かが助けてくれます。

それに、日本の社会保障はなんだかんだいっても世界最高レベルです。本当に苦しいとき、ちゃんと行政に助けを求めれば、なんらかの制度を使って助けが得られます。たとえ生活保護が受けられなかったとしても、生活保護以外にも社会保障の制度はたくさんあります。たとえば、精神科の通院費を安くする自立支援医療という制度もあります。絶望することは全くないので、まずは役所に相談してみてください。

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