上手に眠る方法
今回は研究論文ではなく、うまく眠るための方法について、アメリカの睡眠学会のホームページを元に解説したいと思います。
こうしたものを、睡眠衛生と言いますが、ようは、しっかり眠るための準備のようなものです。
例えば不眠症の人は、睡眠薬を飲まないと眠れないことがあります。
しかし、医師は不眠症の方に、安易に睡眠薬を使う前に、まずは適切に睡眠の準備をしているかを確認し、うまく眠る方法を指導することになっています。
つまり、睡眠衛生の指導がファーストステップであり、睡眠薬を使う前に試さないといけないことになります。
では、解説していきます。
1. 睡眠に適した環境作り
寝室は静かで暗い空間にします。
空調も適切に。暑過ぎて眠れないことは、誰でも経験があると思います。少し涼しいくらいがちょうどいいかもしれません。
寝る前にパソコンやテレビなどを見ると寝つけなくなることがあります。寝室にあると、どうしても寝る前につけたくなる人は、パソコンやテレビを寝室に置かない方が良いかもしれません。
夜中に何度も時計を見て、「こんな時間なのにまだ眠れない」とネガテイブに考えるのは睡眠にとってマイナスです。時計が気になる場合は、時計を寝室に置かないようにしましょう。
枕や布団、ベッドマットが自分に合っているかも考えましょう。やはり、寝やすい布団やベッドが良いです。
なるべく同じ時間に起きて、同じ時間に横になるようにして下さい。規則正しい生活は体内時計のリズムを整え、夜になると自然に眠くなるというリズムを生み出します。
ただし、横になっても10分以上(あくまで目安なので、時間を数えないようにして下さい)眠れなければ、いったん起きて、他の場所で気持ちを鎮め、リラックスしましょう。この時にパソコンやスマホ、テレビなどを見て、目を覚ますようなことはしないようにして下さい。ゆったりとした音楽を聞いたり、温かいミルクを飲んだり、お風呂に浸かるなどして気持ちを休めます。そして、眠くなってから寝るようにして下さい。
2. 刺激を減らす
特に胸焼けがある人や消化不良気味の人は、眠る前の3時間は食事をとらない方が良いです。食事をとってから横になると、胃の中のものが食道の方に逆流して胸焼け起こし(逆流性食道炎と言います)、そのせいで眠れないことがあります。
寝る前3時間はカフェインを含むお茶やコーヒー、ココア、チョコレートなどをとるのは避けて下さい。カフェインは眠気覚ましです。
タバコも刺激となって目がさえるので、寝る前は吸わないようにして下さい。
寝る前のアルコールも控えましょう。アルコールを飲むと途中で起きたり、睡眠時間が短くなったりします。
寝る前の4時間ほどは、激しい運動を避けましょう。脳が興奮して目がさえてしまうことがあります。
昼寝はなるべく避けて下さい。夜に眠れなくなる原因になります。どうしても昼寝する場合はタイマーをセットして短い時間にしましょう。
寝る前はストレスを感じることを避けて下さい。ストレスのせいで神経が過敏になると、眠れなくなります。
上の環境作りでも書きましたが、テレビやパソコン、スマホなどで脳を刺激すると眠れなくなります。特に、布団やベッドの上で、こうしたものを見ないようにしましょう。
以上になります。いかがでしたでしょうか?
なお、眠れなかったり、睡眠の質が下がったりする理由は、睡眠時無呼吸症候群や、レストレスレッグズ症候群など、別の原因がある場合があります。
こうした原因となる病気が他にある場合は、まず、そちらの治療をしないといけませんので、正しく診断することが大事になります。
ただし、こうした病気の診断は専門性が高く、一般の診療所では診断できないこともあります。
例えば、睡眠時無呼吸症候群であれば、検査する機械(PSGなど)が必要になりますが、置いてある医療機関は限られています。
受診した後に「うちでは診断できないよ」などと言われては困ると思いますから、受診する前に、インターネットでこうした病気を診断してくれる専門のクリニックや病院を探すようにして下さい。
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