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  • Tomoyuki Saito

ベンゾジアゼピン(デパス、ソラナックスなど)依存症の治し方



ベンゾジアゼピン(benzodiazepine)はベンゾ(benzo)などとも略されますが、脳に作用して不安を和らげたり、睡眠を促したりする薬です。筋肉の緊張をとったり、てんかん(意識を失ったり、けいれんしたりする症状)を止める作用もあります。

ベンゾジアゼピンには色々あります。代表的なものですと、例えば、ソラナックス(アルプラゾラム)などは不安をとる目的でよく使われるベンゾジアゼピンです。また、デパス(エチゾラム)は構造的にはチエノジアゼピンですが、ベンゾジアゼピンと同等の作用、副作用があり、同類と扱って良いと思います。睡眠薬として使うタイプには、レンドルミン(ブロチゾラム)やサイレース(フルニトラゼパム)などがあります。

このベンゾジアゼピンは依存性という問題があります。覚せい剤ほど依存性が強いわけではありませんが、お酒やタバコと同じように、やめたくてもやめられない状態になりやすいのです。ベンゾジアゼピンを使うと、すぐに緊張が和らぎ、小さな快感を得ることができます。簡単に気持ちを落ち着かせることができる手段があると、それに依存してしまうのは人間の性でしょう。このように気持ちの面で依存してしまうことを精神的依存と言いますが、そのほかに身体的依存というものもあります。体が物理的に依存してしまい、薬を中断すると離脱症状が体に現れるのです。ベンゾジアゼピンは、精神的依存も身体的依存も両方引き起こします。以前の記事「ベンゾの害」でもお伝えしましたが、ベンゾジアゼピンは集中力や記憶力の低下といった認知機能障害という副作用があり、仕事のミスを増やしてしまう、交通事故を引き起こすなどのリスクがあります。また、自分を抑えられなくなる脱抑制という副作用もあり、衝動的になってしまいます。お年寄りだと、体の力が入りにくくなるので、転んで骨折してしまうケースもあります。

こうした害があるため、できれば必要最低限の使用にとどめたいところですが、ベンゾジアゼピンは長らく漫然と処方されてしまうことが多いです。特に、日本の精神科医はベンゾジアゼピンを大量に処方する傾向があります。そして、精神的に安定した後も使い続けてしまいます。そうすると、いつしかベンゾジアゼピン依存症になってしまい、やめたくてもやめられない状態になってしまうのです。

それでは、もしもベンゾジアゼピン依存症になったら、そこから抜け出すためにはどうしたら良いのでしょうか? 今回は、オーストラリアの文献を参考にして、ベンゾジアゼピン依存症の治し方について解説します。

参考文献:Management of benzodiazepine misuse and dependence. Australian Prescriber. 2015.

「ベンゾジアゼピン依存症の予防」

まずはベンゾジアゼピン依存症にならないための方法について説明します。よくベンゾジアゼピンを1ヶ月以上使うと依存症になりやすいと言われますが、この文献では3-4週間以上、ベンゾジアゼピンを使い続けると依存が生じる傾向にあると書かれています。逆に1-2週間であれば、依存は生じにくいということです。まずは、ベンゾジアゼピンを長く使い続けないようにすることが、ベンゾジアゼピン依存症の予防法です。少なくとも、精神的に安定したら、なるべく早く減らした方が良いですね。また、量も大事で、たくさん使うよりも少なく使う方が依存症にはなりにくいです。必要最低限の量だけを使うのが望ましいですね。

「ベンゾジアゼピンの離脱症状」

ベンゾジアゼピンを3-4週間以上使い続けた場合、急にやめると離脱症状が出るリスクがあります。ベンゾジアゼピンの離脱症状は色々とあります。例えば、動悸(心臓の鼓動が早くなる)、発汗、頭痛、震え、筋肉の痛み、めまい、吐き気など様々な体の症状が出ます。また、不安になったり、イライラしたり、眠れなくなったりと情緒不安定になります。そもそも不安障害や不眠症でベンゾジアゼピンを使う人が多いのですが、離脱症状は不安障害や不眠症の症状に似ています。このため、離脱症状ではなくて、以前の症状がまた出てきたのだと思い違えることもあります。記憶力や集中力が落ちることもあります。ひどいと錯乱状態になったり、全身けいれんを起こしたりして、生命の危険が生じることもあります。なので、ベンゾジアゼピンを長く使っている人は、急にやめてはいけません。やめる場合は、少しずつ減らしていきます。

「ベンゾジアゼピンを置き換える」

ベンゾジアゼピンは色々な種類がありますが、効果の短いものほど離脱症状が出やすいと言われます。効果の長さは現実的には測定しにくいので、医学的には「血中半減期」というもので考えます。これは、血液中の薬の濃度が半分になる時間ということです。短縮して、「半減期」とも呼ばれます。例えば、薬の添付文書を見ると、デパスの半減期は約6時間、ソラナックスの半減期は約14時間(文献では6-25時間と書かれています)と書かれています。これを見ると、デパスの方が半減期が短いので離脱症状も起きやすいことが分かります。こうした半減期の短いベンゾジアゼピンを使っている場合は、もっと半減期の長いベンゾジアゼピンに置き換えてから減らすという方法を取ることがあります。半減期の長いベンゾジアゼピンで代表的なものは、ジアゼパム(セルシン、ホリゾン)です。ジアゼパムの半減期は20-80時間と長いので、半減期の短いベンゾジアゼピンは、ジアゼパムに置き換えてから減らす方が離脱症状が出にくく、減らしやすいのです。なお、ベンゾジアゼピンを置き換える場合は、量を同じくらいに調整しないといけませんが、これはジアゼパム等価換算表を使うとすぐに計算できます。例えば、デパスの1.5mgはジアゼパムの5mgに相当します。デパスの0.5mg錠を1日3回飲んでいる人は、合計して1日1.5mgのデパスを使っているわけですから、ジアゼパムの5mg錠を朝に半錠、夕に半錠飲むというふうにすると、ほぼ同じ量に置き換えることができるわけです。

「ベンゾジアゼピンを少しずつ減らす」

ベンゾジアゼピンは急にやめると離脱症状が出て危険なので、少しずつ減らしていきます。上述したように、半減期の長いタイプに置き換えてから減らしても良いですし、そのまま減らしても構いません。ただ、減らす時間は必要になります。文献には最低でも10週間以上かけて少しずつ減らし、中止していくようにと書かれています。つまり、目安は3ヶ月ですが、これはあくまでも最低期間なので実際はもっと長くかかります。減らしやすいケースは、ジアゼパムに換算して1日10mg以下、デパスだと3mg以下、ソラナックスだと1.6mg以下しか飲んでいない人です。ベンゾジアゼピンを少ししか使っていない人(ジアゼパム換算で10mg以下)は、減らしていく中で離脱症状が出にくいと言われます。逆に、1日ジアゼパム10mg以上相当のベンゾジアゼピンを使っている人は、減らすのに時間がかかります。この場合、とりあえずジアゼパム10mgを目安に減らしていき、その後はさらに慎重にゆっくりと減らしていく必要があります。このように、ベンゾジアゼピンを減らしやすい人、減らしにくい人がいます。当然ですが、ベンゾジアゼピンへの依存が軽い人も減らしやすいですし、幸せな生活を送っている人(人生に対する満足度が高い人)や精神状態が安定している人、お酒を飲まない人などはベンゾジアゼピンを減らしても離脱症状が出にくいため、減らしやすいです。逆に、精神的に不安定だったり、他にも依存傾向がある人などは減らしにくいと言われます。また、てんかんという病気があると、減らす時にけいれん症状が出ることがあるので、この場合は慎重にならざるを得ないです。

「ベンゾジアゼピンを減らしたくない場合」

中にはベンゾジアゼピンを減らすことに抵抗する人もいます。ずっと飲んでた薬を減らすのは不安もあるでしょう。この場合、まずは医師とよく話し合う必要があります。減らすとどんな良いことがあるのか、本当に減らすことができるのかなどを医師に確認してみましょう。まずは、自分で依存症を克服しようと思わないと、克服できません。やめるには、「やめよう」と思うことが最初のステップなのです。それでも、やはり減らしたくない人もいますので、使い続けるケースもあると思います。しかし、この場合でも乱用、過量服薬などは避けなければなりません。また、上述のように、減らさないまでも、まずは半減期の長いベンゾジアゼピンに置き換えて続けていくという方法もあります。同じ効果のある量を計算して使うのであれば、ベンゾジアゼピンを減らしたことにはなりません。しかし、半減期の長いベンゾジアゼピンを使った方が、いつかやめようと思った時に、減らしやすいです。ジアゼパム以外にも、メイラックスなど半減期の長いベンゾジアゼピンはたくさんあります。少なくともデパスのように半減期の長いベンゾジアゼピンを飲んでいるよりは、先々を考えると良いはずです。どうしてもベンゾジアゼピンを減らせないと思っている人は、違うタイプのベンゾジアゼピンに変えることを検討しても良いと思います。

さて、解説は以上です。みなさんがベストな選択をすることを望みますが、自分だけでベンゾジアゼピンを減らすことはできません。まずは処方する医師と相談してみましょう。なお、私なりに考えたベンゾジアゼピンのうまい使い方は下記の記事で紹介しています。

「ベンゾジアゼピンの上手な使い方」へ進む

#ベンゾジアゼピン #依存症

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