• Tomoyuki Saito

適応障害の治療



駅前のメンタルクリニックなどで診療してると、一番出会うことが多いのが適応障害です。

これは、ストレスの原因がはっきりしているもので、そのストレスさえ無くなれば症状が良くなるという精神疾患です。

うつ病と同じように気持ちが落ち込んだり眠れなくなったりしますし、不安障害と同じようにパニック症状が出たりします。

ただ、うつ病や不安障害は何ヶ月も続くことが多いのですが、適応障害は短期間で治ることが多い病気です。

他の精神疾患とは症状の持続時間が違うのです。

例えば、よくあるのがこんなケースです。

今の会社に入り、特に問題なくやってきたけど、ある時、パワハラ上司の下に配属となり、その上司からパワハラを受け続ける毎日となった。初めは恐怖やプレッシャーと戦いながら頑張っていたけど、2ヶ月くらいすると夜眠れなくなり、そのうち仕事に行く前に吐き気や動悸が出るようになった。。。

この場合、ストレスの原因である上司と会うことが無くなれば、症状は落ち着くことが多いです。

例えば、職場を異動してその上司と離れる、転職して会わなくなるなどすれば、症状は数週間くらいで自然と落ち着きます。

他のケースですと、夫婦の仲が悪くなった、友人と喧嘩したなど、まあ人間関係のストレスが多いでしょうか。

こういったケースでも、大元の問題が解決すると自然と症状は無くなります。

なので、別に病院に行かなくても、大元の問題が解決すれば治る病気になります。

さて、この適応障害の治療法ですが、先ほども言ったように、そもそも病院やクリニックに行かなくても治すことができるので、まずは大元の問題、ストレスの原因を解決することが先決になります。

そのためには、状況を的確に分析し、今の自分の心には何がストレスなのかをはっきりさせる必要があります。

状況がはっきりしてくれば、解決策も見えやすくなるはずです。

しかし、なかなか自分だけで分析し、解決するのが難しい場合もあります。

そんな時には、精神科医や臨床心理士に相談して、客観的な意見やアドバイスをもらうのも良いと思います。

また、心理カウンセリングなどで心の内を外に出したりすれば、より早く気分が落ち着くことはあります。

薬を使った治療の必要性はそこまで高くはないですが、症状を早く和らげるには有効です

例えば、恐怖心が強まった時に抗不安薬(ベンゾジアゼピン系など)を使うとすぐに楽にはなりますし、吐き気にはドグマチールという薬が良く効いたりします。

なので、精神科の薬が効かないとか、意味が無いというわけではありません。

ただ、薬で適応障害を治すわけではなく、あくまで症状を軽くするだけです。

そもそも、ストレスの原因が解決されなければ、根本的に良くなることはありません。

逆に、ストレスの原因さえ解決したら、あえて治療しなくても治るのです。

こう言うと簡単に治るようにも思いますが、現実はなかなかそう簡単にはいかないことも多いです。

職場を変われば治ると分かっていても、なかなか変われない場合もあります。

友人や家族と喧嘩しても、すぐに解決できないこともあるでしょう。

ストレスの大元が解決せず、症状が長引く場合も少なくありません。

例えば、職場のストレスなどの場合、休職するのも一つの手段です。

その際には職場から診断書の提出を求められるでしょうから、そのために精神科に行く人も多いでしょう。

適応障害の診断書を発行してもらい、休職する。

しばらくすると、症状は落ち着きます。

これは直接的な治療ではないかもしれませんが、精神科をうまく利用して病気を治していることに他なりません。

このように、間接的に精神科に介入してもらい、病気を治すやり方でも良いと思います。

なお、あまり良くない治療についても書いておきます。

たまに、うつ病と同じように長期にわたり抗うつ薬を処方することが良いと思っている精神科医がいます。

うつ病の場合は適応障害よりも症状が重く、また長引きますので、数ヶ月から長いと年単位で抗うつ薬を使うことがあります。

しかし、適応障害は基本的に短期的な病気です。

ほとんどの適応障害のケースでは、薬を使うとしても短期間のみで十分なのです。

長期にわたり抗うつ薬を使う方が良いというエビデンスもありませんし、理屈の上でも、一過性の症状に長期的な薬物療法を行うのは合わない話です。

基本的には、長期の治療は必要ないと考えてください。

ただし、適応障害とはいえ、原因であるストレスの大元が無くならず、症状が長引く場合もありますし、悪化してうつ病や不安障害になっていくケースもあります。

このように、症状がこじれて長引いてしまうケースでは、長期的な治療が必要になり、長期の抗うつ薬を検討する場合もあります。

しかし、少なくともいきなり抗うつ薬を使って治療したり、長期的な治療プランを検討することはありません。

また、さらに問題なのは、依存性のあるベンゾジアゼピン系の薬を毎日投与され、それが何ヶ月も続く場合です。

こういう精神科医もまだ日本には多いです。

ベンゾジアゼピン系の抗不安薬や睡眠薬は短期間使う場合には良いのですが、毎日毎日1ヶ月以上飲むことになると、症状が良くなってもベンゾジアゼピン系の薬に依存してしまい、薬をやめることが難しくなる場合があります。

下手すると、症状が落ち着いてもやめられず、一生飲む人もいます。

このようなことにならないためにも、最初は短期的な治療プランを検討した方が良いでしょう。

精神科に受診する場合は、最初に今後の治療プランについて話し合ってください。

#適応障害

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