• Tomoyuki Saito

自殺について話す


(こちらは、昨年noteで公開した記事を一部修正したものです)

「これは聞いて良いのか、聞かない方が良いのか?」

誰しも、こんな風に悩んだことがあると思います。

特に、重たい話題は、相手に振って良いのか悩みますよね?

家族や恋人などのプライベートな内容や病気の話題などは、なんとなく聞きにくいものです。

「こんなこと言って大丈夫かな?」と思うような内容は他にもあるでしょう。

たとえば、年齢や外見なども話しにくい内容ですよね。

それも、相手が年齢より若く見えるなどのポジティブな内容だったら、まだ違うでしょうが、、

やはりネガティブな内容だと、どうしても話すのをためらうものです。

ネガティブなことって、相手に不快な思いをさせる可能性がある、リスキーな話題です。

そう考え、世の中にはネガティブな話題を避ける人が多いと思います。

これは、精神科の診察でも似たような部分があります。

精神科の領域で、一番ネガティブで重たい話題としては、「自殺」があります。

普段、めったに口にする言葉ではないと思います。

しかし、精神疾患をかかえながら自殺する人は多く、自殺を未然に防ぐというのは精神科医の役割です。

たとえば、「自殺しようと考えている」だとか、「自殺を試みたことがある」という人は、自殺のリスクが高いので注意が必要です。

しかし、だからと言って、

「自殺をしようと考えたことはありませんか?」

「自殺を試みたことはありませんか?」

などと「自殺」という単語をはっきりと口に出して患者さんに問いかけるのも、なかなか、ためらわれるものです。

もしかすると、それで相手に嫌な思いをさせてしまうことがあるかもしれません。

それに、別に自殺の話をしなくたって、心理的にしっかりとサポートしていけば十分じゃないかという考え方もあると思います。

このように、精神科の診察で、もしくは心理カウンセリングでも同じだと思いますが、「自殺」という単語を口にするべきか、しないべきか、なかなか悩ましいところなのです。

しかし、なんと、最近になって、この難題に決着をつけようとする研究論文が発表されました!

今回はそれを紹介します。

Direct versus indirect psychosocial and behavioural interventions to prevent suicide and suicide attempts: a systematic review and meta-analysis. Lancet Psychiatry. 2016.

これは、たくさんの研究報告を集めて統計をとったメタ解析という手法で書かれた論文になります。

ここでは、自殺の予防に関する研究報告の中で、精神科の薬物治療を行ったものではなく、心理的(心理社会的)な介入やサポートを行ったものを集めて分析されています。

まさに、精神療法、心理療法、カウンセリングなど、会話が主体な治療ですね。

そうした論文を集計した結果、研究に参加した患者さんの数は、心理的な介入やサポートを行った人々が合計6658人という大人数になりました。

この人たちと、何も介入をしなかった6711人とを比べ、心理的な介入、サポートの有効性を調査するわけです。

大事なことは、これらの介入、サポートによって、自殺を防ぐことができたのかどうか?

そして、自殺願望や自殺企図など、自殺についてはっきりと話し合った介入と、そうでない介入(不安やうつ症状などの精神症状については話し合うけど、自殺については明確に話し合わないもの)で、どちらが自殺を防ぐのにふさわしい方法なのか?

これを調べるべく、結果を統計的に分析しています。

すると、はっきりと自殺について話し合った方は自殺を予防できるという統計結果が得られたんですが、、

はっきりと話し合わなかった方は自殺を予防できるという確かな結果が得られなかったんです。

つまり、やっぱり、精神科医や心理カウンセラーなどは、精神的に不安定な患者さんと、自殺についてしっかりと話し合わないといけないということですね。

自殺って、なかなか話しにくい内容ではありますが、向き合っていかないといけないものなのかもしれません。

#自殺

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