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  • Tomoyuki Saito

睡眠関連摂食障害とは?


(こちらは、過去にnoteに記載した内容を一部修正して発表しています)

睡眠関連摂食障害という言葉を聞いたことがあるでしょうか?

ちょっと、めずらしい言葉だと思います。

まずは、普通の摂食障害から説明します。

摂食障害とは、食事に関する異常行動のことです。

これには何種類かのタイプがあります。

自分の体重が許せなくて過剰なダイエットを行い、どんどん痩せてしまう神経性無食欲症。

やけ食いを繰り返し、その後に太りたくないと吐いたり下剤を飲んだりしてしまう神経性大食症。

これらが代表的な摂食障害です。

この摂食障害の背景には、過剰なストレスや複雑な家庭の問題などがあることが珍しくありません。

若い女性なんかに多い精神疾患ですね。

そして、睡眠関連摂食障害というのは、寝ている時に起き出し、夜中にたくさん食べてしまうというもの。

例えば、ベッドで寝ていたところ、真夜中に起き出し、台所にある冷蔵庫を開けて、中にある食材をムシャムシャと大量に食べてしまうというのが一例です。

半ば眠った状態なので、本人は覚えてないことも多いみたいです。

本人にしてみたら、知らず知らずのうちに冷蔵庫から食物が無くなり、朝に体重を計ると思ったより増加していてびっくり、という気持ちでしょう。

このように、眠ってから起こる食行動の異常なので睡眠関連摂食障害という名前になっています。

今回は、この睡眠関連摂食障害についての調査報告をご紹介します。

なんでも、この睡眠関連摂食障害が睡眠薬のせいかもしれない、というのです。

タイトル、雑誌名、発表年:Prevalence of and Factors Associated With Sleep-Related Eating Disorder in Psychiatric Outpatients Taking Hypnotics. (睡眠薬を飲んでいる精神科の外来患者における睡眠関連摂食障害の有病率と関係する要因)J Clin Psychiatry. 2016.

これは、英語論文ですが、日本の東京医科大学の研究ですね。

精神科の外来に通う患者さんのうち、睡眠薬を飲んでいる1318人にアンケート調査を行い、1048人から回答を得ました。

このうち8.4%にあたる88人の方々が睡眠関連摂食障害に苦しんでいたようです。

ここで注意しなければいけないのは、これは一般の方にアンケートを行ったわけではないということ。

精神科に通っている人たちなので、最初から何らかの精神疾患を持っていたわけです。

一つの精神疾患を持つと、他の精神疾患を持つ確率も上がります。

だから、このアンケート調査で出た、8.4%の人が睡眠関連摂食障害を持つという数字は、実際の割合よりもかなり高くなっているはずです。

世の中の一般の人々の間で、8.4%もの人間がこの病気で苦しんでいるんだ、とは思わないで下さいね。

さて、調査結果の続きを発表します。

この調査では、睡眠関連摂食障害を持つ人の方が、そうでない人よりも飲んでいる睡眠薬の量が明らかに多かったとのことです。

そのため、この論文では、睡眠薬のせいで睡眠関連摂食障害が起きたのかもしれないという考察が書かれています。

さて、本当にそうなんでしょうか?

ここからは、私なりの考察です。

睡眠薬はベンゾジアゼピン系という種類が一番多く使われていますが、このベンゾジアゼピン系の薬には、脱抑制と言って、自分の行動がコントロールしにくくなるという副作用があります。

この脱抑制という現象は、お酒を飲んだことのある人は分かりやすいと思います。

酔うと、自分の言動を抑えることができなくなりますよね。

ついつい、はしゃぎ過ぎたり、愚痴を言い過ぎたり、ちょっとしたことで怒り過ぎたりしてしまいます。

抑えがきかないので、なんでもやり過ぎてしまうわけです。

だから、ベンゾジアゼピン系の睡眠薬を飲むと、たくさん食べたいという欲求が抑えられなくなり、夜中にたくさん食べ過ぎてしまう、ということはありえるかもしれません。

ただ、睡眠関連摂食障害って、寝ているのに途中で起きてしまうわけですから、不眠症にも近い症状ですよね。

すると、単に眠れないから睡眠薬を多く飲んでいるというだけかもしれません。

睡眠関連摂食障害という病気を持っているから、眠れなくて、睡眠薬を多く飲んでしまう。

こういうストーリーも考えられます。

これだと、睡眠薬は、睡眠関連摂食障害の原因というより、結果になります。

このように、いろいろな可能性が考えられますから、本当に睡眠薬の副作用で睡眠関連摂食障害が起こるのかは決め付けられないと思います。

まあ、もちろん、この論文では可能性が考えられているだけで、決めつけているわけではありません。

このへんをはっきりするために、今後の調査が期待されますね。

#睡眠

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