• Tomoyuki Saito

性的倒錯(小児性愛など)の最近の研究のまとめ


性的倒錯(パラフィリア)とは、性欲面で異常をきたす精神疾患のことで、小児性愛(いわゆるロリコン)や、露出症(性器などを露出することで性的興奮を感じる人)、窃視症(いわゆる、のぞき、盗撮などで興奮する人)、性的サディズムなどがあります。

心の中で空想にひたるだけの人もいますが、実際に行動に移してしまうと性犯罪になることもあります。

海外では、性犯罪者に対して、強制的に性的倒錯の治療(男性ホルモンを抑える注射が一般的です)を受けさせる法律を定めているところもあります。

ただ、日本では厚生労働省の認可を受けた性的倒錯の治療はなく、ホルモン製剤も前立腺癌や子宮内膜症などの病気にしか使用が認められていません。つまり、ほとんど治療手段は無いのが現状です。

そんな性的倒錯の最近の研究を調べてまとめます。(以下、英語の記載は、論文名、雑誌名、発表年です)

Characteristics of paraphilics in Turkey: A retrospective study-20years. Int J Law Psychiatry. 2016.

トルコの研究。1984年から2004年の20年の間に起こった犯罪の中で、性的倒錯があるかないか精神鑑定が行われた、307の事例(男性が97.4%という比率)を調べたところ、71.7%はなんの精神疾患も無かったとのこと。また、精神疾患があるものでも、主なものは知的障害、統合失調症、人格障害などでした。性的倒錯は40例で、全体の13%だけだったようです。主な内訳は、60.3%が小児性愛、8.1%が露出症。意外に、性的倒錯の比率は少ないのかもしれません。

Assessing paedophilia based on the haemodynamic brain response to face images.

World J Biol Psychiatry. 2016.

ドイツの研究。小児性愛の人とノーマルの人(大人を好む人)に、子供や大人の顔を見せて、fMRIという脳画像の機械を使い、脳の反応を調べたところ、高確率で小児性愛を見抜けたという報告。ちょっと違いますが、嘘発見器的な使い方ですね。今後、診断に使われるかもしれません。

Treatment outcomes of chemical castration on Korean sex offenders. J Forensic Leg Med. 2013.

韓国の研究。性犯罪者に対し化学的去勢、ようはホルモン製剤などを使って制欲を抑える治療をした結果の報告です。この治療を行った人は、性欲が減り、自慰行為なども減ったとのことで、治療として有効ではないかという結果でした。ただ、初めの2ヶ月は逆に男性ホルモンがどっと分泌されて性欲が増加するという現象が見られたとのことで、この期間は注意が必要のようです。

Childhood sexual victimization, pedophilic interest, and sexual recidivism. Child Abuse Negl. 2013.

カナダの研究。462人の男性の性犯罪者を調べたところ、子供の頃(16歳以前)に性的な虐待にあった人ほど、若い人を襲っていたという結果が出ました。特に、男性から性虐待をうけた人は、小児性愛の傾向が強かったとのこと。性虐待の負の連鎖ですね。

Prescription of testosterone-lowering medications for sex offender treatment in German forensic-psychiatric institutions. J Sex Med. 2013.

ドイツで性犯罪者にどのような治療が行われているのか調べた研究。病院にアンケートを行ったところ、611人の性犯罪者の統計が出ました。子供に危害を加えた人が39.8%、性暴力を行なった人が37.6%という内訳です。このうち、15.7%の人が、男性ホルモンを減らす治療を受けていて、SSRIという抗うつ薬で治療されていた人が11.5%でした。ドイツでは、性犯罪者に対して男性ホルモンを下げる治療が普及しているようですね。

調べてみた感想としては、性的倒錯に関する研究は少ないなという印象です。社会的な背景から、やりにくいのでしょうか。社会的な意義はあると思うのですがね。

なお、性的倒錯の治療についてさらに知りたい方は、性的倒錯の治療ガイドラインの徹底解説のページまで。

#性的倒錯

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