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ベンゾジアゼピンの上手な使い方


ベンゾジアゼピンという薬は不安をとったり、睡眠を促す作用があります。不安を取るタイプのベンゾジアゼピンには、ソラナックス(アルプラゾラム)などがあり、デパス(エチゾラム)は構造的にはチエノジアゼピンになりますが、ベンゾジアゼピンとほぼ同じ作用と考えられている抗不安薬です。睡眠を促すベンゾジアゼピンにはレンドルミン(ブロチゾラム)やサイレース(フルニトラゼパム)などがあります。

こうしたベンゾジアゼピンは即効性があって便利なのですが、依存性や様々な副作用があります。過去に、ベンゾジアゼピン依存症の治療について解説しましたが、依存から抜け出すには、なかなか時間がかかることになります。

こういう風に薬のリスクを聞くと、「それでは、ベンゾジアゼピンを使わない方が良いのではないか?」という疑問がわいてきます。しかし、やはりベンゾジアゼピンはとても便利な薬です。特に、今の日本のように多くの人がストレスや不安を感じる社会では、ベンゾジアゼピンのようにすぐに不安を取り除いてくれる薬を求める人は多いと思います。ベンゾジアゼピンが使えないとなると困る人も多いはずです。

そこで、私が考えるベンゾジアゼピンの上手な使い方を紹介したいと思います。今回は、不安を取るタイプのベンゾジアゼピンの上手な使い方です。

「ベンゾジアゼピン以外の選択肢を作る」

まずはベンゾジアゼピンを使う以外の選択肢を作ることがおすすめです。人生、常に先行きは見えません。一寸先は闇ということわざもありますが、未来に起こるすべてのことを予見するなんて神様でもなければ無理です。将来が見えないということは、常に不安要素が存在するということ。こう考えると、いつも何らかの不安はあって当たり前ということになります。ベンゾジアゼピンには不安を取る効果がありますが、小さな不安を感じた時でもベンゾジアゼピンを使っていてはきりがありません。それこそ、1日中ベンゾジアゼピンを使い続けなければなりません。これでは、すぐに依存症になってしまいますし、強い副作用が出てしまいます。そこで、小さな不安に対してはベンゾジアゼピンを使う以外の選択肢を考える方が良いと思います。たとえば、自分に「大丈夫」と言い聞かせる、あたたかい飲み物を飲む、深呼吸をする、音楽を聴く、映画を見る、気分転換に遊びに行くなど。不安を一時的にでも弱める方法は沢山あります。自分に合う方法で構わないので、最低でも一つはこういう不安を抑える方法をもっていた方が良いです。その上で、どうしても耐えられない不安であれば、ベンゾジアゼピンを使う。つまり、ベンゾジアゼピンは第二の選択肢になります。こうすれば、過剰にベンゾジアゼピンを使うリスクは減るはずです。また、選択肢が一つしかないと、それに集中してしまい、依存してしまいます。他の依存症でもそうですが、いくつも選択肢がある方が一つのものに依存する可能性は減ります。

「ベンゾジアゼピンを頓服で使う」

ベンゾジアゼピンは毎日使い続けると身体的依存といって体にしみついてしまい、急にやめると危険な離脱症状が出てしまいます。そのため、いきなり毎日使うのではなく、最初は時々使うことがおすすめです。たとえば、週に1、2回だけ、どうしても不安な時だけに使うという方法です。これを頓服と言います。この方法を使うには、先ほど説明したように、薬以外の選択肢を持っておくことが大事になってきます。不安を感じた時に、まずは自分なりに対処して不安を和らげる。それで落ち着けば、良しとする。しかし、どうしても落ち着かないこともあります。その時に初めてベンゾジアゼピンを使うわけです。こういうやり方であれば、ベンゾジアゼピンを使う回数を減らせますから、依存症に陥る可能性は減るはずです。ちなみに、頓服というと自由にいくらでも飲んで良いと思う人がいますが、それは違います。特にベンゾジアゼピンを自由にいくらでも飲むと依存症になるので、どうしても必要な時だけ使うようにしましょう。

「ベンゾジアゼピンをお守りとして使う」

いざという時にベンゾジアゼピンがあれば大丈夫。そう思いながら、カバンの中にベンゾジアゼピンをしのばせておいて、実際には使わない。こうした方法もあります。ベンゾジアゼピンを持っているという心理的な安心感だけで、不安を和らげる方法です。私はよくこれを、「ベンゾジアゼピンをお守り代わりに持っておく」と表現しています。薬には実際に脳に作用して効果を発揮する以外にも、心理的な効果というものがあります。こうした薬の心理的な効果を最大限に活用するのは、とても賢い方法です。また、薬を飲むときも、「これはすごく良く効く薬だ」と思って飲めば、心理的な効果が高まり、薬の効果が増えます。このように、薬の心理的な効果、安心感を最大限に利用しながら、実際の薬の量や回数を減らせば、副作用の心配な減ります。副作用の心配が減れば、それもまた安心につながり、不安が減るわけです。

さて、いかがでしたでしょうか?

「ベンゾジアゼピン以外の選択肢を作る」

「ベンゾジアゼピンを頓服で使う」

「ベンゾジアゼピンをお守りとして使う」

こんなやり方で、ベンゾジアゼピンを使う回数、量を減らし、依存症や副作用のリスクを減らせれば、使いやすいですよね。もちろん、病状によっては毎日ベンゾジアゼピンを使わないといけない場合もあります。また、薬は必ず主治医と相談しながら使い方を検討することになりますが、良い方法だと思いますので、まずは主治医に相談してみてください。

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