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少しだけ双極性障害っぽいうつ病の治療法(混合うつ病)



混合うつ病

うつ病は、毎日ほぼずっと気分が落ち込む病気で、精神療法や抗うつ薬(脳のセロトニンなどを増やす薬)で治療します。(うつ病の標準的な治療はこちらの記事で紹介しています)きっと、名前だけは聞いたことがある人も多いと思います。

一方で、双極性障害、昔の呼び名でいうと躁うつ病という病気もあります。これは、うつ病の症状だけでなく、躁病といって、気持ちがハイになったり、エネルギーにあふれたりする症状も出てくるもので、気分安定薬や抗精神病薬など、うつ病の薬とは別のもので治療します。躁病の症状が強い人を双極性障害の1型(双極Ⅰ型障害)、躁病の症状が弱い人を2型(双極Ⅱ型障害)と分類しますが、さらに、躁病の症状とうつ病の症状が両方ほぼ同時に出てくる人もいて、これは混合状態と言われてきました。1日のうちでも気分が激しく下がったり上がったりする状態です。うつ病と双極性障害が重なる状態ですね。これだけでもかなり境界領域という感じですが、最近はさらにうつ病に近いタイプも注目されてきています。基本的にうつ病がメインなんですが、ほんの少しだけ双極性障害っぽい症状もある人です。なんだか曖昧な言い方になるのですが、双極性障害というほどのはっきりした症状がないけれど、それに近い特徴があるという感じです。先ほど、うつ病と双極性障害の間が混合状態と言いましたが、その混合状態よりもうつ病に近づくので、うつ病と混合状態の間というニュアンスになります。これは、今までは通常のうつ病と同じに扱われ、抗うつ薬で治療されてきました。しかし、最近では違う治療薬の方が良いという研究報告が相次いで発表されており、治療法が見直されています。そんな中、この混合状態とうつ病の間の病気では、こう治療するのがよいという指針が発表されたので、今回はそれを紹介します。

なお、この曖昧な状態のうつ病は、紹介元のガイドラインではmixed depressionと短く呼んでいます。あまり長ったらしく呼ぶのも嫌なので、ここでは「混合うつ病」と短く呼ぶことにします。また、すでにDSM5というアメリカの診断基準で、混合性の特徴を伴ううつ病の診断基準は決められているのですが、このガイドラインはさらに基準を広げています。具体的には、通常のうつ病症状に加えて以下の症状がある場合と書かれています。

・イライラ ・不安 ・注意散漫(注意転導性とも言いますが、あれこれと気が散る感じです) ・強い焦燥感 ・色々な考えが浮かぶ(観念奔逸とも言います) ・入眠困難、中途覚醒 ・決断困難 ・怒り ・会話の増加(以前よりも多弁で、おしゃべりな状態) ・情緒不安定 ・緊張感 ・反復思考(ずっと同じことばかり考えている) ・衝動性 ・危険な行動

さらに、血縁に双極性障害の人がいる人も、混合うつ病に含めるようです。遺伝も大事な要素ということですね。

しかし、これだけ項目が多いと、どれかしらある人は多いでしょう。つまり、混合うつ病は、かなり広い概念となっています。それでは、次回以降に治療について説明していきます。


混合うつ病の治療薬

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