• Tomoyuki Saito

双極性障害の治療に青色塗料のメチレンブルー


今回は双極性障害の研究についてご紹介します。

引用元:Methylene blue treatment for residual symptoms of bipolar disorder: randomized crossover study. The British Journal of Psychiatry. 2017.(論文タイトル、雑誌名、発表年)

こちらは、カナダで行われた研究ですね。

皆さんはメチレンブルーをご存知でしょうか?

聞いている私も、実はこの論文を見るまで知らなかったんですが、とても綺麗な青色の物質で、染料や消毒薬として使われていたもののようです。

この研究では、このメチレンブルーが双極性障害の治療に使えるかどうか調べられました。

双極性障害とは、別名、躁うつ病のことで、うつ状態になったり、躁状態というハイテンションで活動的になったりする症状が出たりする病気です。

時期によって、うつ状態になったり、躁状態になったりするのですが、うつ状態の方が長いと言われています。

うつ状態の時は、気分が落ち込むだけでなく、すごく不安になったりもします。

また、脳で情報を処理する力、記憶力、集中力といった脳の働きが衰えるという症状もあります。

これは認知機能障害と言い、いわゆる認知症の症状と同じですが、認知症よりも軽い症状になります。

さて、こうした色々な症状が出る双極性障害ですが、どのように治療するかご存知でしょうか?

カウンセリングなどで心理的なストレスをコントロールする方法もある程度は有効なんですが、双極性障害は脳の神経系統の異常という側面が強い病気ですので、薬物を使って脳の働きを調整してあげないと治療が難しいんです。

つまり、治療の中心となるのは脳に働く薬ですね。

今のところ、てんかんという突発的に意識を失ったり、痙攣したりする病気の治療薬が、双極性障害にも有効であることが分かっています。

他には、炭酸リチウムという薬や、脳のドパミン神経系を調整する薬も有効であることが分かっており、こうした薬が双極性障害の治療に使われます。

しかし、こうした薬を使っても、なかなか症状がしっかりと改善しない方もいます。多少の症状が残ってしまうんですね。

そこで、もっと良い薬はないだろうかと研究している方たちがいます。今回、ご紹介する研究では、メチレンブルーという物質が有効なんじゃないかと調べられたようです。

これは、染料などに使われる青色の物質なんですが、神経を保護する効果があるのではないかと言われているようです。

この研究では、37人の方が参加されました。

参加者は、全員が双極性障害を持ち、ラモトリギンという薬(てんかんにも双極性障害にも有効な薬です)により治療中です。

この人たちをランダムに二つのグループに分けて、一方はラモトリギンに加えてメチレンブルー(1日に195mg)を投与し、もう一方はラモトリギンとプラセボと言われる何の薬でもないもの(偽薬とも言われます)を投与します。

これで二つのグループの治療成績を比べるわけです。

もし、メチレンブルーを投与された人たちも、プラセボを投与された人たちも治療成績が変わらないようなら、メチレンブルーには効果が無いということになります。

さて、この結果ですが、、

メチレンブルーが、うつ症状や不安症状を改善したという結果が得られました。

プラセボを投与された人たちの結果とメチレンブルーを投与された人たちの結果を統計学的に解析したところ、確かにメチレンブルーの方が治療成績が良かったんです。

どうやら、メチレンブルーにも気持ちを改善する効果がありそうですね。

ただし、認知機能障害については効果が得られなかったということ。

残念ながら、脳の働きを良くする作用は無さそうです。

副作用については一時的に軽いものが見られただけということですので、安全性は高いようですね。

今回は、メチレンブルー単独で治療したわけではなく、ラモトリギンという薬と一緒に使った形ですが、確かに効果は確認できました。

今後もさらにデータが集まれば、双極性障害の薬として使うことができるようになるかもしれませんね。


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