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  • Tomoyuki Saito

東日本大震災とソーシャルキャピタル


今回は2011年に起きた東日本大震災による精神的負担についての研究をシェアします。

ソーシャルキャピタルという概念が出てくる論文ですね。

引用元:Impact of social capital on psychological distress and interaction with house destruction and displacement after the Great East Japan Earthquake of 2011. Psychiatry and Clinical Neurosciences. 2017. (論文タイトル、雑誌名、発表年)

引用元は英文雑誌ですが、日本精神神経学会が運営しているものです。

さて、多くの方が亡くなったあの震災。

日本人なら誰もが忘れられません。

ああいった大きな災害により、沢山の人が強い精神的ショックを受けることは、誰でも想像できると思います。

しかし、その中でも更に細かく、どういった要素が災害にあった人々の精神的苦痛に結びつくのか?

または、どういった要素が心の支えになるのか?

などと問われると、返答に困る方も多いのではないでしょうか。

今回、ご紹介するのは東北大学の研究で、社会的な要素と、震災後の精神的苦痛の関係性が調べられています。

この研究で特徴的なのは、

ソーシャルキャピタル

という概念を調べたことです。

ソーシャルキャピタルとは、地域社会のネットワークだとか、信頼関係など、人々の繋がりがもたらす強みのことを指します。

こうしたソーシャルキャピタルは多くの人の心の支えになるものですが、震災後の人々の心の支えにもなったのでしょうか?

これを調べるため、大規模なアンケート調査が2012年の10月と12月に行われたようです。震災から約一年半後ですね。

宮城県の七ヶ浜という、震災の被害が大きかった地域に住む成人7036人にアンケート調査を行い、3793人が回答されました。

質問としては、精神的苦痛やストレスがどの程度のものだったか(これは学術的に認められたアンケートの型が使用されます)、家の倒壊状況の程度や移住したかどうか、

そして、ソーシャルキャピタルを考える上で大事な質問ですが、人々を信頼できるかどうか、などとも聞いたようです。

この質問に対して、そうは思わないと回答した人たちは、ソーシャルキャピタルが低いと判断されました。

ソーシャルキャピタルの定義や要素はいくつかあるようですが、学術的な調査や研究では、定義が曖昧なままでは始まりません。

調査を始める前に、今回はこういう定義とすると決めます。

今回の調査では、周囲の人間と信頼関係が築けていない=ソーシャルキャピタルが低いという定義にしたようです。

こうした結果は数値化され、統計学的に検証されました。

すると、やはり、ソーシャルキャピタルが低い人々は、精神的苦痛を感じる傾向が強いということが判明しました。オッズ比でいうと、4.46倍です。

これに対して、家が崩壊した人々も精神的苦痛を感じる傾向が強かったとのことですが、オッズ比は1.96倍となっており、ソーシャルキャピタルの数値の方が高かったのです。

家が倒壊する以上に、人間同士の信頼関係が大事だということかもしれません。

ただ、これは文化的な要素でも変わってくるので、土地の風習、慣習などにも左右されると思いますし、他の地域なら違う結果が出た可能性もあると思います。

まあ、しかし、都会など個人主義が強い地域だとしても、人間関係、信頼関係があるのと無いのとでは、気の持ちように差が出る気がします。

やはり、誰か信頼できる人が身近にいるということは、人間にとって大事ですよね。


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