• Tomoyuki Saito

うつ病の混合状態


これは、うつ病の混合状態についての記事になります。

実は、うつ病といっても、色々なタイプがあります。

うつ病と似た病気に双極性障害(躁うつ病)があります。

うつ状態や躁状態といったハイテンションで活動的になる症状が繰り返される病気です。

人によっては、躁状態とうつ状態が混じる方もいます。

この躁状態とうつ状態が混ざり合う状態を、混合状態と言ったりします。

かなり情緒不安定な状態ですね。

最近では、この混合状態は、うつ病の一種なのか、それとも双極性障害に近いものなのかと、よく議論されています。

ここは大事なところで、なぜなら、どちらに分類するかで、薬の使い方が違ってくるんですね。

うつ病には抗うつ薬を使いますが、双極性障害にはあまり抗うつ薬は使わいません。

そのかわりに、気分安定薬とか抗精神病薬というものを使います。

抗精神病薬とは、脳内のドーパミンが関わる神経回路をブロックする薬です。

この、抗精神病薬が今回の本題です。

混合状態の患者さんに抗精神病薬を投与したという研究を紹介します。

Lurasidone for the Treatment of Major Depressive Disorder With Mixed Features: A Randomized, Double-Blind, Placebo-Controlled Study. The American Journal of Psychiatry. 2016.

先ほども言いましたが、混合状態がうつ病と同じなのか、双極性障害と同じかは、よく分かっていません。

科学的なメカニズムがまだ明らかでないため、結論が出ていないのです。

だから、今のところは、うつ病に近ければうつ病に、双極性障害に近ければ双極性障害に分類することになっています。

例えば、軽い躁状態があってもうつ状態の方がメインの場合はうつ病に分類されます。

まあ、これはあくまで便宜的なものです。

とりあえず、そういう風に分類しただけと思ってください。

さて、今回ご紹介する研究に参加された患者さんたちは、うつ状態がメイン。

それに軽い躁状態が加わったという方です。

つまり、混合状態なんだけど、便宜的にうつ病の方に分類される方ですね。

そして、その患者さんたちに、ルラシドンという抗精神病薬を投与しました。

このルラシドンは、なんでも日本で開発されたそうです。

しかし、日本では2017年3月現在、まだ国の認可が下りてません。

先に海外で認可され、使われています。

さて、このルラシドンを109人の患者さんに投与し、何も投与しなかった患者さん100人と比べて効果を判定しました。

すると、投与し始めてから6週間後、

うつの症状も、躁の症状も、ルラシドンを投与した患者さんの方が良くなっていました。

データを統計学的に検証すると、ルラシドンを投与する、しないで、明らかにに差が出たのです。

なかなか混合状態に有効と言われる薬は少ないので、これは貴重な研究結果です。

ただ、効果だけでなく、副作用も心配ですよね。

この研究で見られた副作用では、吐き気と眠気が多かったそうです。

割合で言うと、吐き気は6.4%、眠気は5.5%の方にあらわれました。

ところで、このルラシドンですが、実は、すでに双極性障害の治療に有効ということが分かっています。

だから、この結果を見ると、混合状態の人で、うつ状態がメインの人でも、それはうつ病というより双極性障害に近いのかなと思ってしまいます。

まあ、もちろんこれだけで判断できることではないですが。

今後、もっと混合状態のメカニズムがわかってくるといいですね。

うつ病の治療ガイドラインをこちらで解説しています。

#うつ病

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