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うつ病ガイドライン徹底解説28(最終回) 睡眠薬



うつ病ガイドライン徹底解説

今回は睡眠薬の具体的な種類と効果、副作用などを説明していきます。

ベンゾジアゼピン系睡眠薬

脳の神経にあるGABA受容体という場所に作用する睡眠薬です。依存性が強く、また、耐性がつきやすく使っていると徐々に効果が弱まるという弱点があります。この依存性や耐性は、長く使っていると出てくるので、あまり長期に投与しないよう注意喚起されています。

非ベンゾジアゼピン系睡眠薬

ベンゾジアゼピン系睡眠薬と同様にGABA受容体に作用するのですが、依存性などの副作用が少なくなるように改良された睡眠薬を非ベンゾジアゼピン系睡眠薬と言ったりします。ゾルピデム、ゾピクロン、エスゾピクロンなどがあります。ただ、他にも睡眠薬の種類はあり、どこまでを含むのか定義が曖昧で、俗称に近い言葉です。うつ病学会のガイドラインでは、非ベンゾジアゼピン系の睡眠薬とベンゾジアゼピン系睡眠薬が同じ項目でまとめられています。ただ、うつ病の治療で注目すべきはゾピクロンとエスゾピクロンです。これらは、抗うつ薬と一緒に使うと、睡眠だけでなく、うつ病の症状も改善してくれることが分かっています。ただ、唾液が苦くなるという副作用が難点です。

眠くなるタイプの抗うつ薬

抗うつ薬と睡眠薬を同時に使わなくても、眠くなるタイプの抗うつ薬を使えば良いという発想もあります。トラゾドン、ミルタザピン、ミアンセリンなどの抗うつ薬を飲むと、かなり眠気が出ます。こうした眠くなるタイプの抗うつ薬を寝る前に飲むと、睡眠薬の代わりになるわけです。

眠くなるタイプの抗精神病薬

抗精神病薬とは脳のドパミン神経系をブロックする薬です。この抗精神病薬を抗うつ薬と一緒に使うことで、うつ病の治療効果を増やすことができるという増強療法については以前説明しました。この時に、オランザピン、クエチアピン、リスペリドンなど眠気が出る抗精神病薬を使うと、睡眠を促すことができます。

その他の睡眠薬

メラトニンという眠気をもたらしたり、体内時計を整えたりする役割をもつホルモンに近い効果を持つラメルテオンという睡眠薬や、脳内にあるオレキシンという目を覚ませる物質をブロックすることで眠気をもたらすスボレキサントという睡眠薬は、依存性などの副作用が非常に少ないため、最近はよく使われるようになっています。比較的新しい睡眠薬ですね。ただ、効果が弱い部分もあり、うつ病の不眠は頑固な症状ですから、効かない可能性もあります。少なくとも、効くというデータがまだありません。また、バルビツール系の睡眠薬というものも昔は使われていましたが、あまりにも副作用が強いので、もはや使わないようにという注意喚起がなされています。

さて、以上で、うつ病ガイドライン徹底解説シリーズは終了します。これからは、他の疾患のガイドラインを紹介していきますので、今後も宜しくお願いします。


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