• Tomoyuki Saito

うつ病ガイドライン徹底解説2 生活の様子



さて、「日本うつ病学会治療ガイドライン II.うつ病(DSM-5)/ 大うつ病性障害 2016 」の解説を引き続き行なっていきたいと思います。

前回は、まず最初の情報収集の部分について説明したと思います。その中で、身体の病気、内科的な病気についての確認が大事だということまで話しました。

続いて、もっと精神科的な、あるいは心理的な情報収集について説明します。ようは、精神科流の診察・評価の仕方についてです。

うつ病ガイドラインでは「第 1 章 うつ病治療計画の策定」というパートにあたります。

さて、一言に情報収集といっても、過去の情報と現在の情報を集める場合がありますが、まずは過去の情報収集から話していきたいと思います。

うつ病ガイドラインでは、「生活歴」という項目があり、その横に、「発達歴・学歴・職歴・婚姻歴 」と書かれています。順番に説明していきます。

生活歴とは、ある人がどのように生活してきたかという歴史、つまりは人生の軌跡のことです。

生まれてから現在まで、どのように生きてきたのかという情報は、人間の心理状態に大きな影響を与える事柄です。これを知らないと、現在の心理状態は分からないものです。

まずは、生まれた時です。

何人兄弟の何番目として生まれたのか?

妊娠の時や、生まれた時に問題が無かったのか?

そして、赤ちゃんの頃から少しずつ成長していくわけですが、その時に問題はなかったのか?

こうしたことを確認していきます。

子供の頃の成長過程を専門用語で「発達歴」と言います。

成長とか発達というと、身長が伸びたり、体重が増えたりすることを思い浮かべる人が多いと思います。

もちろん、こうしたことも大事ですが、精神科の場合は、知能の発達や心の成長などを一番に気にします。

何歳で言葉をしゃべれるようになったのか?

知能の遅れはなかったのか?

小学校の頃の成績はどうだったのか?

また、友達との関係はうまくいっていたのか?

集団行動ができていたのか?

こうした情報は発達障害の有無を確認するために重要になります。

発達障害とは知的障害やADHD(注意欠如・多動性障害)、自閉症スペクトラムなどといったものです。

こうした発達障害自体が精神科の病気でもありますが、発達障害はうつ病とも大きく関係するものですので、うつ病の診察の際にも大事な情報になってきます。

さらに、知能レベルについて知るには、「学歴」という情報も大事になってきます。まあ、学歴が知能を正確に表すわけではないのは、皆さんもご存知だと思いますが、一応の目安にはなります。

また、働く人のメンタルヘルスやストレスが世間の注目を集めていますが、どんな仕事をしてきたかという「職歴」も大事です。もっと言うと、職場の状態はどのようなものだったのかという情報も大事ですね。

そして、ある程度の年齢になれば、結婚しているのか(先ほどの項目でいう婚姻歴ですね)、子供はいるのかという情報も大事になってきます。家庭環境は人の心を大きく左右しますから。

こうした情報、つまりは、人生の軌跡、どのように生きてきたかという情報を知れば、その人の「人となり」が見えてくるものです。

これらは、かなりプライベートな内容にはなりますが、人間の心理状態を知る上では重要な情報になります。

さて、過去の情報について話してきましたが、やや回りくどいというか、間接的な項目が多かったと思います。次回は、もう少し直接的にうつ病と関わる話をしたいと思います。

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