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ベンゾジアゼピン副作用まとめ


今回はベンゾジアゼピンの副作用について、まとめて解説したいと思います。ベンゾジアゼピンは病院で処方される抗不安薬や睡眠薬の種類で、沢山の薬があります。代表的なものはアルプラゾラム(ソラナックス)、ロラゼパム(ワイパックス)などです。色々ありますが、同じタイプなので作用や副作用は共通しています。また、エチゾラム(デパス)も作用、副作用はベンゾジアゼピンに近く、同系統と考えて良いです。

さて、まず語らねばならないのは依存性です。ベンゾジアゼピン依存症という言葉もあるくらい、ベンゾジアゼピンの依存性は有名です。依存には精神的依存と身体的依存があります。身体的依存は、いわゆる依存症とは少し違い、毎日使用している薬ではよく出るのですが、急にやめると反動として離脱症状が出るというものです。これを防ぐために、少しずつ徐々に薬を減らします。身体的依存が出ても、ゆっくり減らすことで薬を中止できることは多いです。しかし、精神的依存はやっかいです。もうこの薬がないとダメだという気持ちになったり、薬をやめても落ち着かなくなったり、また強烈に欲しくなるなど、いわゆるアルコール依存症や覚せい剤依存症などと同じ症状が精神的依存です。ベンゾジアゼピンは身体的依存だけでなく、精神的依存も出るので、なかなかやめられなくなるわけです。ソラナックス依存症やデパス依存症になっている方は、日本に沢山います。このため、精神科では患者を薬漬けにするという批判もあります。一ヶ月以上ベンゾジアゼピンを使い続けると依存症になるリスクが上がりますので、なるべくベンゾジアゼピンは短期的に使うのが良いですね。

次に問題となるのは認知機能障害です。認知機能とは、記憶・学習する、計算する、論理的に考えるなど、脳が持つ知的な能力のことです。集中力や計画を立てる力も認知機能に含まれます。つまり、色々な能力をまとめて認知機能と呼ぶわけです。ベンゾジアゼピンはこの認知機能が低下する副作用があります。集中力がなくなったり、記憶力が低下したりしてしまうので、物忘れが増えたり、仕事でミスをしたり、怖いものだと、車の運転中に事故を起こしたりするのです。これはなかなか問題になります。

また、体がだるくなるという副作用もあります。これは、上で説明した集中力の低下という症状とセットになると、うつ病の症状に近くなります。うつ病では体がだるくなったり、集中して考えることができなくなったりする症状が出るのですが、ベンゾジアゼピンの副作用でも同じものが出るわけです。うつ病の人がベンゾジアゼピンを飲んでいて、このような症状が出ると、うつ病のせいなのか、ベンゾジアゼピンの副作用なのか見分けがつきません。ベンゾジアゼピンの副作用なら減らしていけば改善しますが、ベンゾジアゼピンは依存性があるため減らすのは簡単ではありません。うつ病が良くなっても、ベンゾジアゼピンの副作用でだるさが続く場合もあるので注意が必要です。

高齢者でよく出る副作用も説明したいと思います。

ベンゾジアゼピンは筋肉の力を緩めるという作用もあります。筋弛緩作用などと呼びます。このため肩こりの改善のために使う人もいますが、全身の筋肉を緩めるため転びやすくなることが問題になります。お年寄りは骨が弱っているので、転ぶと骨折するリスクがあります。多いのは大腿骨の頸部、転子部という太ももの付け根を骨折するもので、手術が必要になります。また、脊椎の圧迫骨折といって、背骨が潰れてしまうものも多いです。高齢になって骨折すると、なかなかリハビリしても筋力が改善せず、車椅子生活になってしまうこともあります。

また、認知機能障害という副作用は先ほども説明した通りですが、歳をとると脳が弱っているため、認知機能障害の副作用が若い人よりも強く出てしまい、物忘れが激しくなります。これで認知症と間違えられることも少なくありませんが、薬を中止すると回復するのが特徴です。

また、せん妄という副作用もあります。これは急に認知症のように記憶障害や言語障害などが出てくる病気で、さらに幻覚が見えたり聞こえたり、妄想を抱いたり、強く興奮したり、逆にうつ状態になったりと多彩な精神症状も出ます。時間帯によって症状が変化するのも特徴です。せん妄は高齢者が入院した時などによく出ることで有名ですが、ベンゾジアゼピンを飲んでいる高齢者はせん妄が出やすくなります。

このように、軽い副作用から激しい副作用まで様々あるので、ベンゾジアゼピンには注意が必要です。少なくとも必要な時だけ使うように心がけたほうが良いですね。精神科医の中には何の説明もなくやたらとベンゾジアゼピンを高容量で処方したり、長期に処方するものがいて問題になっています。そのような医師には注意が必要です。処方されるからには効果と副作用、メリットとデメリットなどについてしっかりと説明を受けてください。

ただ、有効性もあるのは事実です。しっかりと副作用に配慮し、患者さんに説明した上で医師が使用する分には問題ないと思います。まあ、どんな薬でも説明はすべきなので当然ですが、患者として病院に行くときは、しっかりと説明を聞く習慣をつけたほうが良いですね。

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