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ベンゾジアゼピンと診療報酬


ベンゾジアゼピンは不安をとったり、睡眠を促す効果がある薬です。日本に不安な人、眠れない人は多いので、メンタルクリニックや精神科、心療内科などでベンゾジアゼピンを処方されている人は多いと思います。例えば、不安を取るタイプだと、ソラナックス、レキソタンなどがあります。また、デパス(エチゾラム)は構造的にはチエノジアゼピンになりますが、ベンゾジアゼピンとほぼ同じ作用と考えられている抗不安薬です。

これは便利な薬ではあるものの、依存性があり、たくさん飲みたくなって規定量より多く飲んでしまう、乱用してしまう人も多く問題になっています。そこで、行政の方でも対策を打ち出しています。

この一つが、診療報酬の減額です。診療報酬というのは治療の値段、費用を決めるものです。日本の医療は国民皆保険制度で、美容関係などの自由診療でなければ、保険証を使って医療を受ける人がほとんどです。この制度を利用する場合は、治療費は厚労省の方で全国一律に治療費の額を決めています。これは患者さんの負担額であるのと同時に、病院やクリニックの収入になるものです。平成28年度になり、抗不安薬を3種類以上処方すると通院精神療法という治療費の一部が2割減る、睡眠薬が3種類以上でも2割減るということになりました。これは患者さんの負担額を減らすというよりも、処方した病院やクリニックの収入を減らすという目的でしょう。つまりはペナルティーです。抗不安薬や睡眠薬は、ほとんどがベンゾジアゼピンですから、ようは依存症の強いベンゾジアゼピンを沢山出させない対策になるわけです。

たくさんベンゾジアゼピンを飲んでいると依存症の度合いも強くなるので、これは一つの方法として良いと思います。ただ、ベンゾジアゼピンは使い続けた期間も大事です。だいたい1ヶ月以上ベンゾジアゼピンを使い続けると依存性が出てくると言われています。なので、ベンゾジアゼピンを使う場合は、なるべく短期間にした方が良いのです。しかし、この原則を守らず、漫然とベンゾジアゼピンを処方する精神科医は多いです。現時点ではまだ長期間のベンゾジアゼピンの投与にはペナルティーはありません。なので、ベンゾジアゼピンを漫然と出す医師も許されてしまい、野放図となっています。

また、ベンゾジアゼピンは何種類使うかということよりも、合計量が大事です。ベンゾジアゼピンはジアゼパムという種類のベンゾジアゼピンに換算して量を計算することができます。こうして換算しながらジアゼパムとして1日何mg使っているのか計算することができます。ジアゼパムにして1日に10mg以上を使っていると依存が強まるそうなので、この数字を上回らないように注意が必要です。ただ、今の所、ベンゾジアゼピンの合計量に対してのペナルティーもありません。まあ、これに関しては、ちょっと計算が大変になるので、行政側がチェックするのは難しいのかもしれないですね。パソコンを使って自動的に計算するなどの方法じゃないとチェックしきれないと思うので、テクノロジーがもっと行政側のシステムに入っていくことも必要になってくるのかもしれません。

ただ、いずれにせよ、行政側もベンゾジアゼピンについて規制を強めてきているのは確かなので、ベンゾジアゼピン依存症の人が少しでも減っていくかもしれません。今後の政策にも期待したいですね。ベンゾジアゼピン依存症の治療については過去の記事で紹介していますのでご覧ください。

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