• Tomoyuki Saito

アルコールは週に100グラムまで


このページについて:一週間のうちどのくらいアルコールを摂取しても大丈夫なのか、飲酒量の上限についての研究報告が出ましたので、ご紹介します。

お酒はアルコール依存症に深く関わりますし、うつ状態や不眠症の原因になったり、認知症を引き起こしたりするので、精神科業界では常に注目されています。しかし、お酒は単に精神疾患と関係があるだけではなく、当然ですが身体の健康を損なう大きな原因です。たくさんお酒を飲むと肝臓を壊したり、生活習慣病になったり、心臓の病気や癌などの深刻な病気のリスクが上がったりと、さまざまな健康被害をもたらします。お酒が体に悪いことは、もはや誰でも知っている常識でしょう。

しかし、お酒をたくさん飲むと良くないことは知っていても、どのくらいまで飲んでもよいのか、どれくらい飲むと危険なのかを知っている人は少ないと思います。飲酒量の許容範囲、アルコールの上限は、ちゃんとした調査で明らかにすべき話ですが、どうやら、これまでにお酒の量と健康被害の関係は、あまりしっかりと調べられてきていなかったようです。そこで、国を超えてアルコールの量と病気や余命との関係が調査されました。今回はその結果をご紹介します。

引用文献:Wood AM, et al. Risk thresholds for alcohol consumption: combined analysis of individual-participant data for 599 912 current drinkers in 83 prospective studies. Lancet. 2018.

この研究では、19の先進諸国の中から飲酒している人たち599,912人のデータが集められました。これはちゃんと一年以上はデータが取れた人に限定されています。また心臓の病気や血管系の病気がある人は除外されています。

ちなみに、この調査ではアルコールの量はグラム換算で表記されています。アルコール健康医学協会のサイトによると、お酒のアルコール料は下記の式で計算するそうです。興味がある人は計算してみて下さい。

お酒の量(ml)×[アルコール度数(%)÷100]×0.8

さて、アルコールと体の具合との関係はどうだったのでしょうか。病気というのは色々な要因が関係するので計算が難しいのですが、統計学的な計算により、性別や年齢、喫煙、糖尿病などの関連性を抜いてみても、週に100グラム以上のアルコールを飲む人は死亡率が高くなるという結果が得られました。100グラムのアルコールというと、アルコール度数が5度のビールにして約2.5L、15度の日本酒では約5合くらいの量です。下のグラフ(左側)を見ると分かりやすいのですが、週に100グラムを越えると死亡のリスクがどんどんと上がるのが分かります。


また、お酒をたくさん飲めば飲むほど、脳梗塞、心不全、致死性の高血圧、致死性の大動脈瘤といった深刻な病気のリスクが上がることが分かりました。ただ、意外なことに、心筋梗塞だけは、お酒を飲むほど確率が下がるという結果でした。

さらに、お酒のせいでどれだけ寿命が減っているかが計算されました。週に0g-100gだけアルコールを摂取している人に比べて、週に100g-200g、200-350g、350g超のアルコールを摂取する人が、それぞれどのくらい余命が短くなるかが男女別に計算され、グラフ化されました。このグラフは下に載せます。


このグラフは年齢別に見るのですが、例えば、40歳の時点で週に100g-200gのアルコールを摂取する人は、0g-100gの量を摂取する人たちに比べて、男女ともに半年ほど余命が短いことが分かります。そして、週に200-350g摂取する人は1-2年、週に350g超の人は4-5年ほど余命が短くなっています。

これを見て、皆さんはどのように思われたでしょうか。やはり、飲み過ぎは良くないなと思われるでしょうか。興味があれば、自分が週にどれだけアルコールを摂取しているかを計算して、そのせいでどれだけ寿命が減っているのかをグラフから読み取ってみて下さい。お酒を飲む量を減らせるかもしれません。

#依存症

3,425回の閲覧

最新記事

すべて表示

回答:脳梗塞後の身体と心の症状

下記の質問がありましたので、回答します。 ■年代を選択してください。 70代 ■性別を選択してください。 男性 ■子供時代について教えてください。 両親は離婚し、養護施設で高校まで育つ。 ■いつから、どんな症状があるのか、時間の流れに沿っ... 9年前、脳梗塞になり、左手、左足先に少し痺れが残ったが、日常生活は、できた。しかし、仕事をやめざるを得ず、悶々とした日々が続き、次第に

回答:疲労は病気か心の問題か

下記質問をいただきましたので回答します。 ■年代を選択してください。 60代 ■性別を選択してください。 女性 ■子供時代について教えてください。 幼稚園から失敗は許されないと感じていて高校生まで優等生学級委員など当然のようにこなしていたし、苦痛でもとないと思っていたが、小学校からずっと、年中腹の痛み、頭痛、時々倒れるという症状があった。親が気にするなというので、我慢した。我慢強い性格だった

回答:トラウマの対応

下記内容で質問がありましたので、回答します。 ■年代を選択してください。 20代 ■性別を選択してください。 女性 ■子供時代について教えてください。 機能不全家族で育ったため、非常におとなしくビクビクして過ごす子どもでした。 父親は酒乱で乱暴、身体的にも精神的にも虐待を行う人でした。性格は短気で理不尽、理論的な話し合いができなく、気に入らない事があると直ぐに手をあげて怒鳴り散らすような人物です。

© 2023 by Demi Watson. Proudly created with Wix.com